処女の値段-7
夜雲がアイマスクを手渡す。鈴香はそれを身につけるとベッドにソッと腰掛けた。今になって心臓がドキドキしてくる。
「・・・NGは無しだから。どれだけ激しいプレイでも私たちは止めないわよ。命の危険があるとみなしたら流石に止めるけど、それ以外は何があっても中断しないし、することは出来ない。いいわね」
それだけ言い残すと、夜雲はその場を離れた。それと同時に、スルスルとステージを囲むようにカーテンが吊り下げられた。おそらく開始と同時にカーテンが上げられるのだろう。ここら辺は上と変わらないらしい。
10分経ったくらいだろうか、何やらステージの周りが騒がしくなってきた。どうやら客が入ってきたらしい。一体何人いるのか、どれだけの客が自分の初体験を鑑賞しにきたのか、そもそも相手は誰なのだろうか、鈴香は暗闇の中不安で胸がいっぱいになっていた。
やがて周りから足音や雑談が聞こえなくなったと同時に、場内の明かりが一斉に消えた。と同時に、ステージ上だけがスポットライトで眩く照らされる。
シュルリとかすかな衣擦れ音を立ててカーテンが引き上げられる音が聞こえてきた。少しずつステージ上が明らかになる。やがてベッドの上でドレスを着た鈴香の姿が露わになると観客席から、
「ほぉ、これはこれは」
「美しい、何と見事な」
「あらあら、これなら私が処女を買い取るべきでしたね」
などという声が聞こえてきた。席が近いこともあってか、小さい声でも意外とステージ上まで届いている。
足音が聞こえてきた。徐々に自分に近づいてくる。誰だかわからないその足音の持ち主に全神経を集中させる。
「まぁ、あんな子が。随分と若いですね」
「ハハハ、アレは私の倅でしてね。今回どうしてもというものですから特別にね」
「おや、息子さんでしたか。それにしても見事な一物で。ここからでも良い形をしてるのが分かりますぞ」
観客席の声に鈴香が首を傾げる。若い?倅?彼女が想像していたのは父親くらいの年齢の中年男性だった。