処女の値段-5
だがそうは言っても、
(どうせなら好きな人とやりたかったな)
彼女が思い浮かべるのは少し前にあっただけの少年、神永龍司。単に鈴香に異性の知り合いがあまりいないのもあるが、自分のことを好きだと正面から言ってくれた彼に対して鈴香は少なからず好印象を抱いていた。もし屋上の密会で邪魔が入らなければ、そのまま彼とセックスしていただろう。だが今の状況を考えると邪魔が入ってむしろ正解ではあったのだが。
そんな事を思っていると、扉が開き夜雲が入ってきた。その表情は明らかに不機嫌な様子だ。
「鈴香ちゃん。いきなりだけど今日の相手が変更になったわ。先ほど落札者本人から連絡があって別の男に譲りたいと言われたらしいの」
「・・・ええ、別に構いませんけど」
鈴香本人からしたら相手が誰だろうとどうせ知らない男なのだから別に構わない。だが夜雲本人は気に入らない様子だ。
「何か問題でもあるんですか?」
「うん・・・そうね。その相手というのがね・・・まぁいいわ。ごめんなさい、少し気にしすぎたみたいね」
何やら奥歯に物が挟まった様な言い方である。気になった鈴香がもう少し尋ねようとすると、
「さてそろそろ時間ね。準備に入るからこれに着替えてちょうだい。あとこれも飲んでね」
夜雲は傍らのテーブルに置いてあった白いシルク素材の衣装一式とカプセル錠の薬を1つ鈴香に渡してきた。
「避妊薬よ。効果は私が保証するわ。ランジェリーもこれに着替えてね。終わったら外で待ってるから」
そう言い残し部屋を後にした。
着ていた服を脱ぎ裸になる鈴香。鏡の前で改めて自分の肌やスタイルを確認する。同年代と比較しても大きく実った乳房、キュッと引き締まったくびれ、逆にムチッとした肉付きのいいヒップ、他にもスラリの伸びた長い手足、キリッとした切れ長の瞳、ぷるんとした唇、その全てが大人びたミステリアスな雰囲気を醸し出している。
(私、今からセックスするのね)
下着を手に取る。肌触りの柔らかいシルク素材の純白のショーツ。後ろはTバックとなっており、鈴香の柔らかい桃尻をこれでもかと強調していた。
衣装はドレスだった。純白のウェディングドレス風なデザインである。上はチューブトップタイプで胸元が大きく開いており、下は後ろ半分がロング丈の長さであるが、前半分はミニスカートのような丈の短いタイプとなっていた。
鈴香はプライベートでも着たことがない初めてのドレスに少々戸惑ったものの何とか着ることができた。胸の谷間を大きく見せるデザインなのか、ブラをつけてないので前屈みになると今にも鈴香の胸がポロリとこぼれ落ちそうだ。
靴もドレスに合わせたようで、何とガラスのハイヒールだった。まるでシンデレラね、と心の中で自嘲する鈴香。
着替えを終え控え室を出ると、待っていた夜雲が先に歩き始めた。鈴香がその少し後ろをついていく。