『恵美の場合』-4
……カチャ……
リビングの奧で、扉が開く音……僕が振り返ると……扉の前に、浅黒く日焼けした男が、バスローブを身に纏い立っていた……
「お疲れさまです……」
バスローブの男が、僕に会釈をする……
「あぁ……宜しく頼むね……」
僕は、テーブルの上のフルーツ籠の中から、林檎を一つ取り……ガブリと一噛りした……
「随分、上玉みたいじゃないですか……」
ニヤニヤ薄笑いを浮かべ……男が僕をこづく……
「まぁな……」
「おーぃ……早速始めるぞー……」
ベットルームから、不精髭の男の声……
「了解、了解……悪い魔女に、毒林檎を食べさせられた……お姫さま……どんな可愛い娘なのかなぁ……楽しみ、楽しみ……」
男の言葉に、僕はプッと吹き出し……歯形の付いた林檎を、そっとテーブルに戻す……僕は、魔女扱いか……
ベットルームでは、既に段取りが完了していた……二台のビデオカメラと、照明が三脚に固定され……不精髭の男は、小型のビデオカメラを手に持っていた……
「さぁ……ちゃっちゃと始めよう……ヨーイ、スタート!」
不精髭の男の掛け声と共に……バスローブの男が、未だ意識の戻らない彼女の元に……僕は、ベットルームの入り口で、この様子を静観していた……
男は、横たわる恵美の背中に、そっと左手を入れると……スーッと恵美の上半身を起こす……右手でアイボリーのセーターの裾を掴み……スルリと恵美からセーターを剥がし取った……一瞬の出来事……僕は生唾を飲み込み、思わず身を乗り出していた……
水色のブラジャーが剥き出しになった恵美……男は再び横たえる……恵美の綺麗なシルエットを……なぞる様に指先を這わせながら……黒いタイトスカートのジッパーを、ツーッと降ろす……
男の見事な手つきによって、スカートとパンティーストッキングが、ベットの下に剥がれ落ちる……
傍らで、黙って眺めている僕……肉棒は、スラックスのジッパーを突き破りそうな位、勃起していた……
身に付けているのは、水色のブラジャーと、揃いのパンティーだけになっていた……不精髭の男が、ゆっくりとカメラをパーンさせ、フィルムに、その艶姿を焼き付けていく……
恵美を、恥ずかしい姿に剥がした男は……バスローブを脱ぎ捨て、全裸になっていた……男の手が恵美の首筋に伸び……首の後ろで結ばれたブラの肩ヒモをスーッと解く……そして、背中に手を廻し……ブラのホックを……窮屈そうに押し込まれていた恵美の乳房が、露になった……細身の体からは想像出来ぬ程、たわわに実った果実……男は、その感触を確かめる様に、掌で優しく包み込むと……不精髭の男のビデオカメラに向かい……得意気な表情を浮かべた……
『……ぅぅっ……』
恵美が眉間に皺を寄せ、小さな唸り声を上げる……恵美の覚醒が近い事を悟った男は、恵美の両手を頭の上で一つに纏め、バスローブの腰ヒモで、手首を縛り上げた……
男の、次のターゲットは……恵美の左右の腰骨の上で、蝶結びにされたパンティー……静かに羽を休めていた二匹の蝶が……音も無く……はばたいて行った……
恵美の秘部を守っていた水色の布を、両手を使いゆっくりと剥がし取る……恵美の恥丘の狭い範囲に、黒黒とした茂み……終に産まれたままの姿に、されてしまった恵美……バランスの取れた完璧な曲線が、ベットの上に浮かび上がっていた……
待望の恵美のシルエット……視姦する様に脳裏に焼き付ける……僕のスラックスの中の肉棒は、既に我慢汁を、滲みださせていた……
恵美の足元に廻り込んだ男は、膝の裏に手を入れると……恵美の細く長い足を……大きくM字に開脚させる……
「深い眠りについた、お姫さまの唇に……王子の唇が重なり合うと……お姫さまは……静かに目を醒ます……」
恵美の秘部を、マジマジと見つめながら……男が呟いた……
恵美の足の付け根で、固く閉ざされた、型崩れの無い綺麗な唇に……男の唇が近づいて行った……
閉ざされた花びらの谷間に沿って、男の舌先が動き始める……恵美の型を確認するように……丹念に……
『ぅぅうっ……』
昏睡と覚醒の狭間にいる恵美の茶色い髪の毛が、ゆらゆらと左右に揺れる……
「ほーら、そろそろ……お目覚めだ……」
黒黒とした茂み越しに、恵美の表情を伺う男が、薄笑いを浮かべ呟いた……
『ううぐぐっ……ぅああっ……』
男が舌先を、恵美の花びらの中に潜り込ませると……恵美の腰が、時計廻りに浮き上がり……徐々に恵美の意識が戻り始める……下半身の違和感が……大きな瞳を開かせた……
照らし付ける照明に、妖しく光るレンズ……見知らぬ部屋……見知らぬ男……全裸で横たわり……手首を縛られ……
『きゃーーっ……』
ベットルームに、大きな悲鳴が轟いた……