生活-1
沙莉は思った通りマゾの資質に恵まれている。身体の感度も素晴らしく良いし、清純そうな顔の裏側に淫欲にまみれた別の顔が存在する。恋愛経験も男性経験も少ないが故に、普段は少女と接しているかのようだ。誰も彼女の別の顔の存在を気づくことはないだろう。
沙莉はSNSも再開し、続けてモデル、タレント活動も再開した。住込みバイトというのは、あまり影響が無いらしく。特に隠してもないようだ。金曜日からは、ごく普通の生活を送っている。
毎朝8時に朝食を作り、洗濯、掃除をして、午後3時から店に入る。19時閉店だが、18 時には自宅に帰して晩御飯の用意をしてもらう。
定休日の木曜日には、家事も洗濯くらいにして、時間を空けておくように指示した。一緒に住み始めてもう三日になる。そろそろ渡したSM誌を読んで悶々としているに違いない。奴隷契約書、調教規則は部屋の壁に貼って、毎朝読むように指示してある。次の木曜日に奴隷テストを行う。
試験内容は、奴隷契約書、調教規則からの穴埋め問題。他にマニア誌を読んで一番気に入った投稿や写真の提示と感想。私が選んだSM小説からの問題。基本プレイの種類、基本プレイに使われる道具名など、80点で合格としてある。
合格出来るまでは、自慰行為は一切禁止、調教もしない。本当は、一刻でも早く本格的な調教を始めたいのだが、沙莉は年齢の割にウブ過ぎる。そういうタイプには、こういう調教の仕方もある。
SMといえば、サディストが一方的に好きなようにもてあそぶような調教の仕方をイメージする人が多いが、それは短期間の調教ならいいだろう。
数年に渡って調教していくには、まずは心から支配していく。ペットを手懐けるのと全く同じように、まずは信頼関係、そして主従関係、最後に愛情なのだ。この三つが揃わないと長期に渡る調教は不可能だ。
プレイの度に奴隷が想定する調教内容の少し上を行く。肉体的には勿論、精神的にも耐えられる範囲を熟知しておかないと壊れてしまう場合もある。優し過ぎると、今度はSMで無くなってしまう。常にマンネリ化しないように配慮しないと関係性も希薄になっていく。
SMプレイを通じて、沙莉を世界中の男がそそられる女にしたい。そういう女を創り上げてみたいと思う。聡明で叡智にも優れ、明るく透明感があり優しい人格という表面人格。淫乱で変態のドM、調教という言葉を聞くだけで股間を濡らす変態マゾの裏面人格。見つめられただけで世の男達が勃起してしまうような最高のM女を創り上げるのだ。
今は、信頼関係までは築けている。主従関係は、まだまだこれからだ。
「おはようございまーす！」「さっき、挨拶したよ！」「きゃはは、そうですよね！つい、癖になっちゃって。」「わざわざ正面から入って来なくても、裏口から入って来たらいいよ！そっちのほうが近いし。」「何となく、こっちからですね。」普段のやり取りは以前と変わらないが、表面には出ないところで主従関係の絆が少しずつ紡がれていく。何処までも伸ばせる透明な鎖で繋いでいるような感覚がある。
沙莉は自分や他人に対するうしろめたさが無くなって、以前より心が軽くなったという。カウンセリングの時の極々軽い快楽調教が良かったようで、早く調教して欲しいように思える。ここ数日は、明らかに沙莉からのスキンシップが増えた。
まだ、ほぼ処女に等しいレベルだから今回のテストをパス出来たら、快楽調教がご褒美だ。毎日、沙莉の大きな丸い乳房や桃のような尻を見ながら、調教をイメージしている。
闇雲に適当にやるのでは無く、必ず課題を与え、クリアしたらご褒美を与える。シンプルなことの繰り返しなのだが、常に奴隷の予想を少し上回る必要がある。
「御主人様お帰りなさいませ。」玄関では、座って頭を下げて迎えてくれる。調教時以外は、私の指示ではなく、沙莉が自発的にそうしている。「お風呂沸いてますから先にどうぞ！」何から何まで、家事はしっかりとこなしてくれる。片親になり、姉妹で家事を分担していたから、今は全然楽しいと彼女は言う。
調教時以外は、普通でいいと何度も言っているが、沙莉は常に主従関係でいたいようだ。
「今日は、ハンバーグ作ってみたんですよぉ！」「おー、美味そうだなぁ！」「さぁ、座ってください。」私の左腕を持って誘導する。
調教を重ねる毎に日常生活も少しずつ変わっていくだろう。今はこのままごとのような生活が楽しい。