ようやく掴んだ理想の未来-2
めでたい話に釣られたか、都姫も本当は言うつもりはなかったが、つい口から鉄平との関係が出てしまう。
「実はね…」
鉄平は、まさか言うのか!?と少し戸惑ったが、都姫は何の躊躇いもない様子だった。
「私と神谷くんも…。ねっ!」
そう言って鉄平を見る。柄にもなく照れる鉄平。
「う、うん…」
彰と萌香はまさか2人がそんな関係になっているとは思っていなかった為、顔を見合わせて驚く。
「えっ?鉄平さんとCEOって、付き合ってたんですか!?」
「うん。昨日からだけど…エヘッ」
会社では絶対に見せない可愛らしいはにかみを見せる。
「き、昨日から…?」
「うん。プロポーズも、ねっ?」
また鉄平の顔を見る。都姫はよほど結婚が嬉しかったのだろう、完全に舞い上がっているみたいだ。
「え?昨日付き合い初めてもうプロポーズですか!?」
彰が鉄平を見る。
「ま、そうゆー事かな。ハハハ」
こんな無防備な笑みを見せる鉄平も珍しかった。
「何か素敵です♪付き合った日にプロポーズとか、よほど相手を信頼しあってなきゃできない事ですもんね。やっぱり企画でペア組んで仕事したから絆が生まれたんですか?」
「そうね。それもあるし、色々♪」
都姫は戯けて見せる。
(幸せそうだなー、CEO)
そんな都姫を見るのは彰にとっても嬉しい事だ。今まで自分を押し殺して会社に尽くして来た姿を知っているせいか、女として幸せそうな都姫を見て安心した。
「でも私達はまだみんなには内緒にしとくの。だからまずは2人の報告をみんなにしましょう!」
都姫は立ち上がりCEO室を出てみんなを招集する。
「みんな聞いてー!この度、彰くんと萌香ちゃんが結婚する事になりましたー!」
みんなの反応は、もう2人の中は公然の事だったので驚きと言うよりも祝福の声で溢れた。
「ちなみに、新しい命も誕生したと言う事です。」
これにはみんなが驚きを隠せなかったが、やはり祝福の声に包まれた。
「僕達、結婚して子供が生まれても、2人でこのフェミニンマインドで働きたいと思います。どうかこれからも宜しくお願いします!」
2人は深々と頭を下げ大きな拍手を得た。
「将来の為に託児所とかこのビルに出来るといいわよねー。」
「そうだねー。私達もいつかはママになるし、未来の事考えなきゃね。」
社員達同士でそんな事を話していた。
(未来を考えなきゃ、か…。そうね。)
都姫もその話には納得した。
「じゃあみんな、仕事に戻ってね!今が頑張り時よ!」
「はーい!」
そして社員一丸となり今の危機を乗り越えようと全力で立ち向かうのであった。