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【学園物 恋愛小説】

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メル友[想の向こう側]-1

私、片岡 優衣(19歳)は只今最高に困ってます!!
何故なら…

―ヴヴ、ヴヴ、ヴヴ…

来たァァ!!

私は、恐る恐るメールを開く。

『あ、その映画オレも観たかったんです。もしユイさんさえ良かったら、明日、一緒に行きませんか?』

ほらね、やっぱり誘われたぁ…!でもまぁ、確かに私がさっき送ったメールは誘ってくれって言ってるような内容だった。っていうことを送ってから気付くなんて!!私のバカッ!
はぁ…。まじでどうしよぉ〜っ!


え?何で焦ってるかって?行けばいいじゃん、ですって?
何言ってんの、君!これには理由があんのっ。
何で私がこんなにも焦っているのか説明するからね。


まず、メールの相手だけど…。名前はアキヒサ、歳は19歳。所謂、私たちは『メル友』ってヤツだ。アキヒサは確か…、友達の友達の友達の友達…あぁぁ!もう分かんないっ!!とにかく、遠い友達の友達。
望とかいうメル友からの『友達がメル友探してんだ。なってやってくんない?』という誘いを受け入れたことから始まった。
ただ、運の悪いことに、その日、私は高校の時から仲の良かった友達と呑んでいたため、ベッロンベッロンのケチョンケチョンに酔っていた。
『初めまして、アキヒサです。19歳の大学生です』というメールに、『ユイでぇ〜す☆21歳の大学生だよー。よろしくね♪』と送ったところで、私の記憶はプツンと途絶えた。(これは、寝たってことだからね!決して、記憶が飛んでる訳じゃないので勘違いしないでねっ!)


気付いた?私とんでもないことしてんの。一番最初に出てきた私の年齢、覚えてる!?忘れたなら、もっかい戻りなさいっ。確認したら、アキヒサに送ったメールの内容を見なさいっ。
ね!?私、二歳年上ってことにしてんの!!なにゆえ21歳って言ったの、自分!当時の私と、自問自答したい気分よっ。
誤解招くといけないから言っとくけどね、冷静になった私は、本当は19歳でアキヒサとタメだよって訂正しようとしたさっ!でもねでもね、朝、目が覚めてメールチェックしたら、アキヒサから『ユイさん、年上っすね。オレ、年上の女性タイプです』なんてメール来てたら言うにも言えませんでしょう!?
そのまま、『年上のユイ』としてメールすることになった訳だけど…。
…どうしよう。会わなければバレたりしないのに、私はアキヒサにすごく会ってみたい…。
だってね、話が合うんだもん。好きなアーティストも、好きな芸能人も、好きな食物も、挙げ句の果てには目玉焼きにはソース派だとか、スイカには塩かける派だとか、そんな細かいとこまで一緒。何ていうか、価値観が同じ…みたいな。
ここまで趣味思考が同じなのに、興味が湧かない訳ないでしょ!?
アキヒサとメールしてて楽しいし、楽だし、やっぱりメールを期待している自分がいるのは事実だし、実際メールが来ない日は軽くショック。
そうなると、やっぱり合ってみたくて…。どんな人か気になるし、ちゃんと向き合って話してみたくなっちゃって…。
でも、アキヒサが誘ってるのは『年上のユイ』な訳で『19歳のユイ』じゃない。もし、私が最初から素直に19歳だと言っていたら、同じように映画に誘ってくれたかなぁ?


そーんな不安もあり私は今、携帯を握り締め、メール作成画面と睨めっこしてるってわけ。もう、かれこれ十数分、いや数十分経っている。
‥‥‥‥‥。
…もう、賭けるしかない。
全部本当のこと言って、それでアキヒサの気持ちを聞こう。もし、軽蔑されたり返信が来なかったりしたら潔く、諦めよう。自業自得なんだから…。
そう考えた私は、慎重に言葉を選びながら真っ白な画面に文字を打ち込んでいった。


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