運命の人-3
「都姫…」
「鉄平さん…」
お互いの唇がどちらからともなく重なり合った。お互いの体を抱きしめ合いながらの甘く蕩けるようなキス。甘い気持ちのまま、鉄平の肉棒が都姫の中に入って来る。
「ああん…」
鼻から抜けるような声を出す都姫。今までも鉄平のペニスが入って来た瞬間は嬉しかったはずだが、それを自分で気づかぬふりをしていた。が、もう気づかねふりをする必要はない。鉄平の挿入に心の底から喜んだ。
「鉄平さん…」
「ん?」
「私を傷つけたり、しない…?」
怖いのはセックスが終わった後、本気にしたのか?と言われる事だった。が、鉄平の言葉は都姫の不安を消し去った。
「しないよ、都姫…」
濃厚に絡めてくる舌に魂を抜かれそうになる。今まで諦めて来た幸せが都姫を包み込む。
「都姫…」
鉄平はゆっくりと腰を振り始める。
「ああん…、ああん…、気持ちいい…、ああん…」
子宮の奥までジンジン感じる。鉄平はそんな都姫の顔をジッと見ながら挿入する。
「都姫、これからは鉄平くんって呼べよ。敬語もなしだ。」
「えっ…い、いいの…?」
「ああ。これからはもう都姫を支配的に扱おうとも思わないし、都姫も支配なんかされなくていい。こんな形でしか都姫を手にする方法が分からなかったけど、俺は会う前、ネットで都姫を見た瞬間からもう…」
「えっ…?」
「初めはヤリたいだけだったんだよ。美人CEOとセックスしたいって。取り敢えずヤッて写真撮って脅して会社に入り込んで都姫を抱きまくろうと思ってあの夜都姫を酔わせてセックスしたんだ。酔っ払って記憶が飛んだ都姫とセックスした後、思い通りになったと思った…散々ヤッて飽きたら会社やめておさらばしようって思ってた。思ってたんだけど、ヤッた後、泥酔しながら都姫が言った寝言で、俺は都姫を好きになったんだよ…。」
「寝言…?私、何て言ったの…?」
「私だって普通に結婚して、子供産んで、家族で出掛けたりしたいよ、私を分かってくれる人、誰もいないの?私を支えてくれる人…この世にいないの?私は一生、仕事だけの寂しい人生送らなきゃいけないの?寂しいよぅ、寂しい…、寂しい…、って言ってたよ。」
「わ、私、そんな事を…」
だがそれは1人会社に残り仕事をしている深夜にいつも思う事だった。誰にもそんな姿を見せた事はないが、都姫はいつもこの先の人生が寂しいものになる不安を抱えていた。きっとその強い気持ちが寝言として出てしまったんだと思った。