ラバーン王国のプリンセス-9
侍女への屈辱は、その主である自分への屈辱に等しい。マレーナは耐えるしかなかった。
オズベリヒの従者の男たちは、卑しい目を向けることもなく、ただ黙々と二人の少女の身体をチェックする。両腕の袖、胸元から腹部、腰から脚と、上半身から下半身に掛け、服の上から、その下に何も隠し持っていないかを確認した。
先ほど、あまりの恐怖に失禁したパウラのスカートは、排泄物でぐっしょりと濡れていたが、彼女を担当する男は全く意に介することなく、機械的にチェックを進めた。
「何も持っていません」
「こちらもです」
侍女のボディーチェックを手早く終えると、二人の従者は揃って報告した。
「次は姫君の番です。続けろ」
オズベリヒはマレーナに言うと、従者のひとりに指示を出した。
「はっ……いや、しかし……」
王女のボディーチェックをしろとの命令に、従者の男はさすがに尻込みした。
「いいからやれ」
男の主は冷ややかな目で指示を重ねた。
「はっ――ご無礼」
男はオズベリヒに答えると、王女に向かって最敬礼して彼女の着衣に触れた。
(こんなことで、わたしは屈しない)
そんな意思をオズベリヒに向けるように、マレーナは彼の目を鋭く見据えながら、見知らぬ男に身体を触れられる屈辱に耐え続けた。