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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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処方箋-2

 「…お名前で失礼いたします。〇〇さん…〇〇さん?」

 (こんなところで名前で呼ぶなんて、そんなデリカシーのないお店だったかしらね…)

 「〇〇さん…〇〇さん?」

 (んもう…何度も呼んで…)

 「…えっ? あ、ごめんなさい! ぼんやりしてました」

 眼科医院の事務員の人がわたしのそばまで来て声をかけている。

 「お待たせしてすみません。お会計の準備ができましたのでお願いいたします。今回は処方箋もできておりますので」
 「…ありがとうございます」
 「お大事に」

 暖房の利いた待合室でついうとうとしていらしたのね…のような温かい視線を感じながらも、そそくさと医院を出る。受け取った新しい眼鏡の処方箋を持って行きつけの眼鏡店を訪ねる。新しい眼鏡のフレームを選ぶ。いまの眼鏡は紫を少し黒っぽくしたような色。いい歳だから色を選ぶにもはじけちゃってもいいのかもしれない。少し冒険してみようかしら…。例えばピンクとか…。

 「貴女みたいな普通の女性がこうして密会してくれるのがうれしくてね。メガネ姿というのも好きだな。すごく理知的で、それでいて大人の色気というか…」
 「コンタクトレンズが苦手なだけで…」
 「眼鏡を外さないでスればよかったな…。今度は是非それで」

 この間逢った男との会話がふと思い出される。結局、今回も無難なデザインを選んで店員に声をかける。蛍光ピンクのフレームなんてかけるキャラクターでもないし、そもそも置いてもなかった。

 「こちらのレンズですと傷もつきにくく…」

 カウンターに座って自分と同世代と思しき女性店員からレンズの材質の説明を受ける。今度は妄想の世界で遊ばないように…としっかり耳を傾けている。…が、つい集中力を途切らせては妄想の世界に遊んでしまいそうになる。眼鏡店だからか眼鏡をかけているのかもしれないけれど、端整な顔かたちによく似合って教師のような理知的な風貌。行きつけの眼鏡店ではあるけれど、このような形で接するのは初めてだ。

 『なんでもお尋ねください。お客様アドバイザー ■■』という名札をつけた店員に声をかける。もちろん心の中で…。

 (レンズに傷がつきにくいのは、かけたままセックスしていても安心ですね…? え? 主人とですって? いいえ、まったくの他人の男とです。そんなことより…■■さん…? お使いなさっているディルドのお色…もしかしてピンクじゃありません?)


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