BLACK BOXを守る者-4
少しの沈黙の後、片山は重い口を開く。
「素性が分からないんです、黒警と言う組織は…。私も実際黒警と呼ばれる組織に会った事はありません。警察の組織である事は間違いないと思いますが、いくら調査しても足取りさえ掴めない謎の組織。」
「目的はいかなる手段を使っても警察の威信を守る事、でしたっけ?」
「そうですね、そう言われてます。我々の中にいるかも知れないし、犯罪組織の中に潜り込んでるのかも知れない。一般人に紛れて活動してるかも知れない。とにかく全く掴めてないのが現状です。」
「みたいね。て事は今、川口元治が持っているであろうBLACK BOXを奪いに来る可能性もある、と。」
「はい。それに杉山総監の時、佐川が持っていたBLACK BOXが何故か我々の元に戻って来ていたのは黒警が取り戻したのではないかと。もしかしたら今回も高嶋謙也の手から奪ったのも黒警の仕組んだ事なんじゃないかと感じてます。」
「では川口元治は黒警の可能性があると?」
「いや、黒警はそんな存在をすぐに明かされるような真似はしない。川口や佐川明子らは誰かの指示を受けての行動だと思ってます。その指示を出したのが黒警だと。」
「なるほどね。あと1つ、あなたと高嶋広徳の関係は?」
「彼は子供の頃から知ってます。彼は高嶋謙也が真っ当な道を歩み今の地位を確立した訳ではない事を知っていて、そんな人間が日本の総理大臣になろうとしている事を阻止する為だけに生きてます。」
「以前に会った時、父親を尊敬し父のような政治家になりたいとは言っていましたが、そうは思ってない事は何となく感じていたわ?何故あなたと繋がってるの?」
「それは…話が長くなりますが、よろしいでしょうか?」
「いいわよ?延長料金は取らないから安心して?」
「そうですか、分かりました…」
片山は何故今、広徳と手を組んで動いているのか、広徳と出会ったきっかけを説明した。それは若菜の質問も含めて3時間にも及ぶのであった。
「なるほどねぇ。じゃあ警察にとって広徳は敵ではないと言う事は間違いないのね?」
「はい、保証します。」
「分かった。じゃあこれからは片山さんも私と状況を共有して下さいね?隠し事なしで。」
「はい、了解しました。」
若菜は片山との会談を終え総監室に戻る。
「警察って、裏で何してるか、ホンット分からない。」
天井を仰ぎため息をつくのであった。