ヒジリ-11
「淫魔を取り出して聖を清める間、俺が何をしても驚くな。」
時田はそんな意味深な言葉を言ったが、あたしは特に気にも止めなかった。これから起こるであろう事の為に気持ちを落ち着けようと、瞳を閉じゆっくり深呼吸をした。
だがその深呼吸は途中で遮られ、あたしは呼吸する事すら奪われた。
それは時田があたしの唇に唇をを寄せ、あたしの口を塞いだからだった。
『んんっ。』
突然の事に驚いたあたしはやっとの事で鼻でも呼吸が出来る事を思い出し、体に空気を送り込んだ。
時田の唇は徐々にあたしの唇を割り、舌を侵入させてきた。
そしてその舌は私の舌を優しく撫で、喉に近い部分にまで侵入した。
うっすらと瞳を開けてみると、近すぎてボヤけるほどの位置に時田の顔があった。
その事に少しの戸惑い覚えながらも、あたしはおとなしく従った。
時田のキスが始まってから2、3分の時が経っただろうか。優しく口内を行き来していた時田が、突然強くあたしの舌を吸った。
その力に容赦は無く、あたしはすぐに苦しさを感じ始めた。
『ふむっ、んっ。』
だが次第に体が熱くなり、それと同時に意識が薄れるのを感じた。
しまいにあたしは強い目眩に襲われ、その場に崩れ落ちた。
「皇っ!!!」
あたしの膝が畳に着いた時、時田が大きな声で式神を呼んだ。
そして薄れゆく意識の中、あたしはあの“声”を聞いた。
〈おのれっ!このような事をして許されると思うな!〉
その“声”から逃れる様に、あたしの意識は途切れた。
「聖、聖…。起きるんだ。」
時田の腕があたしの肩を揺すっていた。
そしてその腕はあたしを優しく包み込み、抱き起こした。
抱き起こされたあたしの視界に飛込んできたものは、長い黒髪を振り乱して暴れる線の細い裸体の女。そしてそれを羽交い締めにして床に抑え込む皇の姿だった。
「清よ、早く清めを!」
そう皇に急かされた時田は皇に頷き返した。
「聖、大丈夫か?」
そうあたしに言う時田の眼差しは優しく、あたしはそれに今まで感じた事の無い愛と言うものを感じた。
『…………ねぇ、清めっ、て……?』
まだはっきりとしない意識の中、あたしは時田に尋ねた。
「聖、俺はお前を抱く。お前を体の中から清める為に。……いいか?」
なんとなく想像は出来た事だ。あたしに断わる理由は無い。
『うん。そのかわり、…愛して。…あたしを、愛して。』
時田にとって、あたしの言葉は意外なものだったろう。あたしが誰かに愛を求めるなんて、自分だって信じられない…。
時田はあたしの制服を1枚づつ脱がしていった。
ブレザーを脱がし、Yシャツの襟の裏にあるリボンのホックを外し、Yシャツのボタンを全て外す。
そしてプリーツスカートのホックとジップを外し、脚からスカートを抜き去る。
あたしは紺の靴下を自分で脱ぎ、体を時田に預けた。
「肌の色、すっげぇ薄いのな。」
『焼けてないだけだよ。』
あたし達は時折、そんな他愛のないお喋りを交えながら行為を続けた。
「でも、マジで綺麗だよ。」
時田はそう言うとあたしの下着に手を掛けた。
そして全ての衣服を脱いだあたしを座布団の上に寝かせ、唇に触れるだけのキスをした。
それと同時に時田の指があたしの肌をなぞり、胸に辿り着いた指は膨らみをそっと愛でた。
あたしは空いている時田の手に自分の指を絡ませ、彼の指で存在を誇示する重厚なリングを抜こうとする。
そして人差し指と薬指にはまったリングを抜き終えると、手首に掛ったブレスレットを外す。