嫉妬少女１-3
「…君みたいないかにも優等生って感じの子ほど、すぐ乱れちゃうんだよね…。素直だね。」
男の熱い吐息まじりの低い囁きと笑いが耳にかかる。
「あっは…ぁ…ぁん…んんぅ…んふぅ…んふぅ…。」
「…君、処女じゃない？それか…オナ好きさんか。…いい反応だよ。」
「はぁ…あぁ…ふぅぅ…ふぁ…っ…あ…ぁ…！？」
くる！
イク！イクぅぅっ！
「っあぁっ！！」
私の体はビクリと動いた。
「ふふ…。イッちゃったみたいだね…。」
「…。」
私はこの男にいかされてしまった…満員電車で。
まわりの人も気付いているのに知らん顔。
そりゃそうよね。
痴漢に触られてこんなに気持ち良さそうにしてる女の子を助けたりしないよね。
はぁはぁ息荒くして…太股まで濡らしてるような私なんて…。
あぁ、でも私には理解できない。水穂さんはなぜこんなに気持ちのいい事を嫌悪するのかが。
「次で降りよう。」
男の囁きに私は頷いた。
沙綾さんの表情が落ち着いてきたみたいだ。
わたしはなんだか嫌な予感がした。
沙綾さんはわたしの方を見ようとはしない。
車内に停車を知らせるアナウンスが入り、電車は金属音をたてながら停車した。
下車する人に混じって沙綾さんが動いた。降りる駅はまだ先なのに。
慌ててわたしも後を追うように人垣を押し分けてドアから抜け出た。
「沙綾さん！待って！沙綾さん！」
先を行く沙綾さんを呼んでも振り向いてはくれない。
聞こえてないのかな。
もう一度叫ぼうとした。
ドン！
「痛いなっ。」
「！あ…すみませ…。」
改札へむかう人ごみの一人にぶつかってしまい、沙綾さんから目を離してしまった。
「…。」
沙綾さんは消えてしまっていた。
どうしよう。
沙綾さんはきっと…あいつにいやらしいことされてショックだったのよ…。
沙綾さんは真面目で優等生だから…。
わたし、沙綾さんに謝らなきゃ。
もう人を巻き込んじゃいけないんだ。
そうすれば、あいつはわたしだけを狙う。わたしだけに色々する。
わたしだけに…。
改札の手前のトイレに気付き、はっとした。
そうだ！
トイレだ。
沙綾さん、トイレで泣いているのかもしれないわ！
改札を出ても行くとこなんてないし。
わたしはトイレをのぞいてみた。個室が三つある内の一番奥の個室が閉まっていた。
沙綾さんが泣いているといけないから、刺激しないようにそっと近づく。
「あんっ！」
突然、聞こえた女の声に驚いて足をとめた。
なに？いまの。
そのまま耳を澄ませた。