消えた西進不動産-9
地元に帰っては来ているが、最近は自由に家にも帰れない。セキュリティーの問題からずっとホテル暮らしだ。警備も厳重で何人かが常に警護に当たっている。ホテル代や警護費用は無駄な経費だから必要ないと訴えるがいつも片山に退けられる。警視総監と言う立場をもっと自覚しろといつも諭される。片山も若菜の安全を案じて言っているのは分かっているから渋々は納得するが、しかしやはり家族に会いたい若菜であった。
3人には個室を用意するとの話だったが、若菜はそれを断った。それは自分達よりも個室を必要とする患者がいるだろうからと言う事だった。病院側も警視庁からの指示だった為に困惑したが、個室だったら部屋が汚れるぐらいにオナニーしてやると脅された病院側は若菜の言う事を最終的な受け入れたが、若菜の病院に対する理解の深さに大いに感謝した。
同じ病室に入った3人。中でも嬉しそうなのは若菜だった。
「なーんかさぁ、家族以外の人らといるとか、子供ん時の宿泊学習思い出すわねー!こーやって、枕投げたりー!」
そう言って華英に枕を投げる若菜。
「ち、ちょっと…」
若菜の子供っぽい行動に迷惑そうな顔をする。
「いいよー、華英ちゃん、こっそりオナニーしても♪」
舌を出す若菜。
「しませんて!若菜さんじゃないんだから!」
そう言って枕を投げ返す。
「白澤さんもいいですよ?シコシコしてもー!」
今度は白澤に枕を投げる。
「そ、そんな歳じゃないんで、私は…」
「えっ?男の人って歳とるとオナニーしないんですか??」
真顔で聞く若菜。
「いやー、しないですねー。」
「えー?嘘でしょ??たまらないんですかー?夢精とか…」
その言葉に華英が反応する。
「夢精って何ですか??」
「はーっ?そんな事も知らないのー?男の人は溜まり過ぎると寝てる間に出ちゃうのよ。白いのがピュピュッて。それが夢精♪」
「そ、そうなんですか…?」
華英が白澤を見る。
「い、いやぁ…、でも歳取ると精子は溜まっても体に吸収されるからしなくなると。何かに書いてありましたよ?」
「え?そうなんですか??」
目をパチクリする若菜。
「た、確か。私は暫くそっち系からは遠ざかってますので…」
「じゃあ風俗も?」
「行ってませんねー。ハハハ」
「…してあげましょうか?華英ちゃんが♪」
「な、何で私が!?」
「若い子の手の方がいいかなって♪」
「て、手…??」
「あら、口の方がお好きですかぁ、白澤さん♪」
「い、いやー…」
「キャハっ!」
白澤を困らせて楽しそうに笑う若菜であった。