find out Eve-5
「うん、結構」
「しかし、何いわれたんだよ、絵実に聞いても内緒って言われるし」
「あっ、それは良かったら忘れて」
「すっごく気になるんだけど」
「いっいいから、忘れてよっ」
赤面しながら話す織華は不覚にも少し可愛かった。
「・・・・・」
「どっどうしたの?いきなり黙って」
「いや、なんでもない」
俺は少し悩んだが、すぐに止めた。来るべき時に考えることだ。
「俺の通知表忘れてくれたら忘れてやるよ」
「そんなこと言われても最初からしらないもん」
織華はもう普通どおりに戻っていた。
少し落胆した気がするのは多分気のせいだろう。
絵実の家に帰るとゆっくりとしたクリスマスソングが流れていた。
「ただいまー、遅くなってゴメンね」
織華はさっきの事はもう流しているようだった、絵実はなぜか楽しそうだが。
織華と絵実はさっそくキッチンに入った。
俺はゆっくりとしたクリスマスソングに耳を傾けながら外を見る。
・・・まだ雪は降らないな。降ったとしても夜だろう、とか思いながら今度はキッチンの方に目を向ける。キッチンでは二人の少女が楽しそうに動いている、何となくいつもあんまり表情を顔に出さない絵実も楽しそうに笑っている。これって結構贅沢なのかもな、と思いながらゆっくりと目を閉じる。俺を意識はそのまま遠くに旅立ってしまった。
「・・・―い、おーい」
誰かが呼んでいる気がして目を覚ました。
「やっと起きた?もう始めるよ?」
目を擦りながらテーブルを見ると色とりどりの料理が並んでいた。
俺がびっくりしているのに気づいた織華はすっごく自慢げだ。
「どーお?すごいでしょ、ケーキ以外はぜーんぶ2人で作ったんだから」
「あぁ、すごい」
本気でそう思った。
「じゃさっさと始めましょう、なんだかんだしてたらもう8時なっちゃったし」
確かに時計を見ると8時を過ぎている。