渚〜出会いの春〜-3
静かに……ゆっくりと……どちらからともなく自然と顔が近づいた
顔と顔が数ミリに近づき
唇が触れ合った
それは優しい…好きという感情がたくさん詰まったキスだった
空を流れる雲がいつもより速く感じた
窓の開いた教室には心地よい春の風がながれた
長い……長いキスを終えてゆっくりと離れた
気が付くと10分もたっていた
「……好き」
渚が抱きついてきた
「あぁ、俺もだ」
「好き……大好き」
「俺も……愛してる」
抱き合ってまたキス
長くて短い時間を二人は過ごした
しばらくたつと
「さすがにこれ以上あいつら待たせるわけにはいかねえな」
「……うん」
「………行くぞ」
「うん!行こっか!」
その夜はカラオケで歌いまくってぶっ倒れた
二人が付き合い始めて約一週間ちょい
あいかわらず渚は皆の憧れの的だった
「良い彼女を持ったね…」
「あぁそうだ」
コイツは俺の親友の一人
原田 護
時々うるさいが良い友達だ
「しかし渚が完璧だからなんか俺が寂しいな……」
「ハァ!?お前それマジで言ってんの?」
「え?当たり前じゃん」
「ハァ………」
「な……なんだよ」
「知ってるか?お前も完璧なの」
「ハァ?完璧じゃねえよ」
「スポーツ万能で頭脳明晰なお前が完璧でないと?」
「だって俺はもてないし……」
「もててんだよな〜」
「嘘だ」
「本当だ!ただお前は告白されないだけだ」
自分のことをわかっていなかったことに少し絶望した