お目見え、そして対決-6
「ん?このようなものが秘剣なのか?」
吉宗が疑問に思ったのも無理はなかった。愛液の飛沫が掛かっただけで、他に何も起こらなかったからだ。
「あれ?あれれ?誰も逝ってない…」
残心を解いたお満も、吉宗はおろか、周囲の者が呆気に取られながら自分を見ている事に驚いた。
しかし、ただ1人、いや1霊が、自身の世界の中で独自の雰囲気を漂わせていた。
『竿之真殿、なぜ止めるのですか?もっと、擦らないと精は出ませぬぞ』
お満の中に居るはずのお敏が、期待を込めた目をしながら、竿之真と実正の応酬を覗き込んでいたのだ。
「母上ー!」
傍に母親が居た事に、竿之真はようやく気付いた。しかし、それも仕方がない事だった。今後の自身の性癖を決める実正との攻防中に、斜め上から覗く霊は意識の外だった。それは実正にも当てはまった。
そして、お満は竿之真の男色の心配と秘剣の披露の心構えで。吉宗は絶頂波に対する気合いを入れるため。くノ一達の目は万一に備えて吉宗に向けられていた。それぞれの事に気を取られていたため、誰もお敏の事を気に掛けてなかったのだ。
そして、肝心なお敏は、初めて見る男同士の責め合いにすっかり心が奪われていたのだ。
『ええい、焦れったい!竿之真、いっそ咥えなされ!殿もその方がお悦びなさいますぞ』
「それも良いが、お敏。何やらお満とくノ一達が怖い顔で睨んでおるぞ」
それは、竿之真に握られたモノが萎えそうなほどの睨みだった。
『へっ…』
お敏が振り向くと、お満の白眼を剥いた視線と重なった。
『ひっ…』
それは普段の愛くるしい瞳とは違い、霊も震える程の冷めた睨みだった。竿之真が男色に染まるかどうかの焦りと、それの阻止の邪魔をされた怒りが、お満の目に現れていたのだ。とにかく美しい女の睨みは怖いのだ。
お満が無言のまま人差し指だけで、ちょいちょいとお敏を手招きした。
『は、はい…』
この時のお満が放つ威厳に逆らう事はできなかった。お満の視線を避けられる唯一の場所、お敏はお満の割れ目からお満の中に入っていった。
「2度はない」
女体の中で反響したお満の言葉は重かった。
【あい…】
霊界に送り帰らされる。今のお満の威厳ならば、それが可能だと覚ったお敏は大人しく頷いた。
お敏はお満の中でちょこんと正座し、お互いに肉棒を握り合った竿之真と実正の手の動きは止まったままだ。
「お待たせしました〜♪」
皆の注目を集めたまま、雰囲気を一転させたお満が、満面の笑みを浮かべながら、あらためて木刀に跨がった。
「はぁん…」
にゅるりと食い込む割れ目の中は、十分な愛液で満たされていた。
「母上、参りますぞ」
【あい】
念を押されたお敏は、真剣な目をしてそれを待った。
「秘剣露時雨おまんこ返し」
卑猥な言葉は待たせた吉宗へのせめてものお詫びの記しだった。しかし、それが仇となった。
【えっ?なに?おまんこ?どうするの?】
失敗は赦されないお敏は、技の名が違う事に焦った。そんなお敏にお構い無しに、お満の割れ目の中に快感が走ったのだ。
「逝くううううう」
汚名返上を試みたお満の絶頂は強かった。それは、これまでにないほどの激逝きだった。
その快感はお満の女体を通して伝わり、準備の整わないお敏を襲った。
【逝ぐううううううううううう】
お敏の制御が無いまま、絶頂波が爆発した。
「来る!」
不敵に微笑む吉宗は、その瞬間に気合いを込めて踏ん張った。しかし、圧倒的な力を持ったお満とお敏の絶頂波は、その覇者の気合いを凌駕した。