蹂躙-3
容赦のない罵声の雨に打たれ、悔し涙を禁じ得ない弘恵に、ただ一人だけ救いの手を差し伸べた者がいた。
それは佐々木であった。
『やめてあげなよ。弘恵ちゃんが可哀想じゃないか。皆んなさ、弘恵ちゃんを〈大人〉だと思うから貧相に見えちゃうんだよ。例えば、身長に恵まれた中学生のバレー選手だって思えば……ね?』
『『ね?』じゃねーよ。まあイイや。オマエが気に入ったんなら好きにしな』
伊藤にカメラを手渡した佐々木は、後ろ手に吊られた弘恵の腕を撫でながら、悔し涙を溢れさせている泣き顔を覗き込んだ。
ストッキング越しにもニヤケているのが分かり、それは前みごろを突き上げているブリーフが本心である事を表していた。
『弘恵ちゃんさあ、森口涼花って知ってるよねえ?あの娘、ボクが電車の中で見つけたんだ。やっぱり中学生って……イヒヒッ…《好い》よねえ〜?不完全な身体なのに、女としての快感はしっかり芽生え……』
「だッ黙れえッ!!な、なに考えてんのよ変態ッ!!ロリコンの変態ヤロオッッッ!!!」
さっき見たパッケージに収められたDVDには、この男に凌辱される森口涼花が収められているのだ。
女性を、しかも年端もいかぬ少女を毒牙に掛けるなど、もはや《女の敵》という言葉すら超越している。
『静かに聞いて?ボクはこの人達に会うまで痴漢をしてたんだ。高校生以下の美少女専門の。
恥ずかしいトコロを初めて触られた相手が痴漢師だっていう《思い出》はさあ、絶対に消えな……』
「さっきから気色悪いんだよ!黙れえッ!!
サイッッテーの変態ヤロオッ!!触るんじゃないわよッ!!!」
至近距離で怒鳴られても、佐々木は全く怯まない。
それどころかブリーフを脱いで怒張した男根を曝し、その悍ましくも興奮している様を弘恵へと見せつけた。
『ボクが弘恵ちゃんの《魅力》を引き出してあげるよ。皆んなのおチンチンがボクみたいにフル勃起しちゃうように、優しくエスコートしてあげる』
「ど、どこに行く気よッ!?イヤッ?やめろぉッ!!!」
スルリと弘恵の背後に回り込んだ佐々木は、広げた掌を尻に当て、ストッキングをクルクルと巻き取りながら脱がし始めた。
「ふッふざけんじゃないわよッ!!ぬ…脱がすなッ!やめろって言ってんだろぉッ!!!」
髪を振り乱して怒声を発し、膝を屈伸させて弘恵は抗う。
しかし、その尻の上下運動は脱衣を妨げるどころか寧ろ加速させ、あまつさえ痛みの走る肩関節をより傷めてしまっていた。
「う"ッあ"あ"ッ!?や…めろおッ!!んぎ?け、蹴り殺してやるからあッ!!!」
弘恵の肌が露出されていく。
真っ白な尻も、滑らかな太腿も、そして引き締まった脹脛も……。
佐々木は弘恵の魅力を仲間に見せつけるべく、鋏でスラックスとストッキングを真っ二つに斬り、更には土嚢袋を抱えて横に寄せ、パンティだけしか守る物がない股間を開かせていった。
(く…日下部さん…ッ!お願い助けてッッッ)
まだ弘恵の失踪を知る者は居ないだろう。
拉致されてからの時間経過は、それ程ではないのを弘恵は感じている。
犬のように床に座ったロリコンの変態痴漢師の視線が、開け放たれた恥部に纏わりついてきた。
もはや少し膝を曲げただけで肩関節が激痛を発するまでに股間の位置は下がり、その開脚の角度は90度を超えるほど。
「ッッッ!!??」
薄い股布越しに、男の吐息を感じた。
あのニヤケた顔が接触するほどに接近している証拠である。
『クンクン!イヒヒ〜……上質なチーズみたいな匂いがするよお?この匂いを嗅ぎながらワインを飲みたいなあ〜』
「へ、変態…ッッ……ぅあッ!?やめろおッ!!はッ離れろよ変態ぃぃッ!!」
傍観者を決め込む男共が、クスクスと笑って見ている。
それでも男根は静寂を保っており、性的な興奮を伴わない、単なる嘲笑でしかない事を示していた。