蹂躙-2
『興味……か。風花のお友達だから作品としたら〈有り〉かと思ってるが……』
「そ…んなくだらない理由なんかでッッ……あ"あ"ッ!?」
湧き上がる感情に我を忘れた弘恵は、背後からの失望と嘲笑に対抗する事だけに腐心してしまっていた。
思いきり捻った身体はくっついていた膝をズラし、それは自慢の肢体を余すことなく曝け出すという結果を招いた。
スラックスは足枷を嵌められた足首にまで落ち、それを自力で履き直すのは不可能な状態となった。
ストッキングに透けるピンク色のパンティと、丸くも角張った尻の形、そして美しい曲線で形作られた細くて長い脚が露わとなった。
『まあ…なあ。脚が長いのは認めるけどよお、肝心のケツがコレ≠カゃあなあ?』
「……ああ、そう。それは良かったわ。見てもつまらないんでしょ?私もオマエ達なんかに見せたくないわ。さあ、早く服を元に戻して!」
『ヒヒヒッ……もしかして《悔しい》のかあ?『ステキ!』とか『サイコー!』とか、俺達が喜んでくれると思ってたのかよお』
『痩せてりゃイイってもんじゃねーんだよお。貧相なケツしやがって。このヒョロガリの煮干し女が』
平静さを装った激昂は嘲りで処断され、弘恵の美貌は口汚く否定された。
それは肉体的なコンプレックスを持つ者が身体的な欠点を嘲笑されるより、より鋭く自尊心を斬りつけた。
『なあ、俺らが《嘘》を吐いてると思ってんだろ?……ほら……クククッ……見てみろよぉ』
「ッッッ」
目の前に立った男がブリーフを脱ぎ捨てる。
そこに現れたのは、気力が微塵も見えぬ萎れた男根であった。
まるでブーイングする親指のように、赤黒い亀頭は床を指して項垂れている。
それはとても《強姦魔》の股間とは思えないくらい、静かなものであった。
『……さっき俺らのコトを理性も知性も無いって言ったよなあ?その通りだ。このチンポだって理性も知性も無えんだ……ホントだったら自信満々な弘恵ちゃん≠フ身体に《忖度》して、フル勃起してなきゃダメなんだが……クククッ!』
「ッッッぐ…!」
別に求められたい≠けではない。
もしそうならば、断固として拒絶を叫ぶ。
だが、性欲の権化のような強姦魔の股間が全く昂りを見せないという目の前の現実は、ある意味では強烈な屈辱である。
『おやおや、アナタもでしたか?実は俺もなんですよ』
『なんとまあ、そちらさんもヘナヘナですねえ。こりゃまた奇遇な』
「ッ〜〜〜〜〜」
ズラリと並んだ四人は、その何れもが勃起不全≠フ状態だった。
そのシナシナに萎れた男根は、鋭利な剣となって弘恵の女性としての自尊心に突き刺さり、ズタズタに切り裂いた。
『おい、スーパーモデルの弘恵ちゃん。言っておくがなあ、俺は三十路越えの川上雪絵ってババアでも勃起したし、鼻穴がデカい新庄由芽ってクソブタでも勃起したんだ。クククッ……ハッキリ言うがなあ、テメェは過去一で魅力に欠けた……』
「うるさいぃぃッ!!!黙ってればいつまでもいつまでもぉッ!!私に用がないならクレーンから外せよ!この土嚢袋も外せえッ!!」
『なんだあ?色気が無いってホントのコト言われて逆ギレかよ。しかも泣きだしやがって。もしかして「自分はサイコー」とか本気で思ってやがったのかあ?』