side 優美 5-1
火曜の朝
優美は旦那を見送り
優花の幼稚園の準備をすませたあと
優花を車の助手席に座らせ
幼稚園に送っていき
帰りに久保田家に寄り
玄関でチャイムを押す
すると恵美子がやってきて
「よろしくお願いします」
頭を下げながら優美に言う
「あ いえいえ 頭をお上げ下さい
それで おさむくんは?」
「あの子なら…居間で待ってますので
今連れてきます」
「あ わたしも手伝います」
優美はそう言うと
恵美子と共に居間に向かい
おさむの姿を見るや
「夕方までよろしくね」
おさむは足で
どうしても?
それを見た優美は
しゃがんで目線をおさむにあわせて
笑顔を作りながら
「よ・ろ・し・く・ね」
目が笑ってない状態で
おさむは従うしかなかった
けいたいとすぴーかー
「持っていくものね」
携帯とスピーカーをバッグにしまうと
おさむを連れて玄関にいき
靴を履かせて車まで連れて行くと
助手席のドアを開けておさむを座らせると
ドアを閉め運転席に乗り込むと
車を発進させるのだった
「優花がいないから今日は助手席ね」
おさむは黙ったまま座ってると
優美は独り言のように話をする
「運転中だし空書は読めないから
黙ったままでいるんだろうけど
夕方までいっぱい時間あるし
午前中は二人きりだからね」
運転しながら横目で
おさむを見ながら語る
そして十数分後 車は橘家に着くと
おさむをおろして家の中に連れて行き
居間の畳の上に座らせる
「ここなら言いたいことあるなら言えるよね」
優美はおさむに話しかけると
ごぜんちゅう そうじとかは?
「掃除 洗濯ね 今からするから
してる間は独りでいて貰うけどへいき?」
うん じかんかかる?
「そんなにかからないから」
じゃ、けいたいできょくでもきいてる
「あ そのための携帯なのね」
優美はバッグから携帯をとりだして
おさむに渡すと
おさむは携帯に中に入れてある曲を再生する
再生された曲を優美が聞いて
「タイトル何?」
おさむは携帯の画面を優美に見せる
「Fractal 青
これもしっとり系だよね」
うん とらいあんぐるはーとのせいゆうさんがうたってる
「そうなのね これってNameless〜を歌ってる人?」
うん そう
「わたし掃除してるから」
うん そうじしていてもきこえるでしょ
「うん 1時間はかからないから待っててね」
優美が掃除洗濯をしている間
大人しく待ってるおさむだった
優美が掃除洗濯をすませ
おさむの元に戻ってくると
おさむは窓から見えない場所に座る位置をかえていた
「おさむくん どうして そう言う死角に座るの?」
まどからみえないばしょのほうが
そとからみえないでしょ?
「あ…えっちなこととかしていても?」
うん そとからみえてるところいやだし
「そうね 不倫だもんね」
うん
「それで 携帯にどんな曲入っているか
見せて貰っていい?」
優美にそう言われると
おさむは携帯を優美に渡す
「じゃ、みるね」
優美は携帯のミュージックを開いて
色々確認していく
横に座るおさむはそっと優美の太ももを
さわっている
(おさむくん わたしの太ももさわってる
気づかないふりしていよう)
おさむの行動を無視して
曲を確認していくと
「ほんと 知らない曲ばかりだね」
だから いっぱんじんがきかないって
「いっていたね うん」
きになるきょくある?
「うーん タイトルだけだとわからないかなぁ」
てきとうにさいせいして
「うん そうする 再生回数多い方から選ぶね」
優美は再生回数が多い曲リストを見ながら選ぶ
「いつの日か この空を」
優美が選んだ曲は歌手として活動が
メインとなっている人のだった
「これも ゆっくり系だね」
このひとのうただと 1ばんすきなのが これ
「そうなのね ほんと ゆっくり系多いね」
ろっくとか うるさいのは ほんとにきかない
「そっか 気になったのは これ
女々しい野郎どもの詩 これって」
げーむのばっどえんでぃんぐてーま
「再生していい?」
優美は曲を再生してみると
ちょっと意外そうな顔をしておさむをみる
「男性ボーカルなんだ」
うん せいゆうさん
「そうなのね じっくり聴いてていい?」
うん
しばらく優美が曲を聴いているのを
黙って見ているおさむ
「ねぇ? この歌 暗いよね?」
うん ふられたあとにながれるうただし
「もしかして わたしのことも こんな感じに思ってた」
それは うん
「そっか とくにサビ部分とか」
ゆめであえるなら それだけでもいい
「夢でなくてこうして再会出来たよね」
うん でも、けっこんしていた
「そうね もっとはやく再会したかった?」
それはあるけど
「もう 優依がいるから?」
うん
「でも おさむくん わたしの太ももさわってたよね?」
さわりたくなって…