幸子と綾の会話 2-1
おさむの部屋から自室に戻った幸子は
ベッドにうつぶせになりながら泣き出していた
「ひっく…うぅ…」
(わたしか悪いとは言え
わたしを見ておびえるおじちゃん…みるのつらい
年末からずっと怖がらさせているし
こないだは…とうとう無反応にまで追いつめて
わたし…
今日はくみこちゃんにずっとだっこされていたんだろうと思うと
またいらいらしてくる
頭ではわかっているのに感情が抑えられなくて
どうしよう
ゆいちゃん おじちゃんに白紙に戻すといったあと
おじちゃん どんな反応するの?
わたしが原因なのは気づくだろうし
さっきの様子だと…わたしを選ぶことは
限りなくないと思うから…)
「うぅ…ひっく…ひっく…」
泣き続けて時間が過ぎていく
気づけば6時過ぎていた
「ゆきこぉ ごはんよー」
母親が呼ぶ声がするけど
降りていく気力もない
心配して部屋に母親がやってくると
「泣いてるの? なにがあったの?」
「ううん なんでもないから…ひっく…」
「なんでもないわけないでしょ そんなに泣いてて」
「なんでもない ごはんもいらないから」
「そ、そう おにぎり作っておくから
あとで食べなさいよ」
「ありがと」
母親は心配するものも
そっとしておくことを選択すると
1階に降りていく
そして7時近くになると
綾が帰宅してくると
母親から幸子の話を聞かされたらしく
部屋にやってきた
「入るよ」
「おねえちゃん…」
「ずっと泣いていたみたいだね?」
「うん おじちゃんが…」
「まだ 幸子をこわがってる?」
「うん 学校から帰ってきて
部屋にいったらくみこちゃんがだっこしてた」
「そ、そう」
「わたしを見て…おびえたから
すぐに2階に来て…そのまま泣いてた
学校でゆいちゃんに」
「うん ゆいちゃんに?」
「背後までするの…いやっていったら」
「え? そんなことまで言ったの」
「うん そしたら ゆいちゃん 白紙に戻すって」
「え?…」
ここで綾のポケットから
LINE通知音がなる
「LINE?」
携帯をとりだし確認すると
おさむからのLINEだった
「おじちゃんから」
目の前の幸子をちらっと見ながら
携帯を確認すると
(明日の午後 ゆいちゃんむりに来てくれて
ゆきちゃんと話し合うって
最後までするのは白紙にされたし
あやちゃん 部活だよね あしたも
…と書かれてあるけど
わたしにいて欲しそうだけど部活だから)
幸子は綾の様子を見ながら
「おじちゃん どうしたの?」
「あ うん 明日 ゆいちゃんくるって」
「え? どういうこと?」
「幸子と話し合うため」
「もしかして くみこちゃんがあの場で
ゆいちゃんに連絡した?」
「うん? くみこちゃん?」
「携帯 買って貰ったから」
「なるほど…それで白紙にする話も
おじちゃん もう知ってる」
「え? どうしよう…」
「わたしにもいて欲しい様子だったけど
部活だから」
「ごめんなさい」
「白紙…か ゆいちゃんはそれでいいかもだけど
おじちゃんは拒否されたと思うし」
「わたしのせい…」
「また 心閉ざしたら…」
綾の言葉に
さらに泣き出す幸子
「うぅ………ひっく…わ・だし…」
泣いてる妹をみながら
「こまったなぁ…幸子 お風呂 一緒に入って
そのあと おじちゃんの部屋にいこう?」
「え? やだ いやがられてるのいってなにするの?」
「明日 わたしいないから 今のうちに会話したいかなと」
「おねえちゃんだけでいいでしょ?」
「これは幸子の問題でしょ?」
「それは…」
半ば強引に幸子を風呂に連れて行き
一緒に入る綾
「一緒に入るのも久しぶりだね」
「う、うん…」
綾は幸子を洗っていき
涙で顔が腫れているのを優しくふいて
「おじちゃん ゆいちゃんと出来ないなら
おねえちゃんえらぶのかな?」
「うーん 最悪 やけになって もうしないっていいそう」
「そ、それは1番最悪なことになる どうしよう」
「わたしとしてるときも がまんしていたからね
入れたくなってもね
ゆいちゃんを裏切るって思ってがまんしてたもん」
「それなのにゆいちゃんから白紙にされたら?」
「うん どう思う?」
「もういやになってしまう」
「メンタル弱いからね」
「うん」
「わたしが童貞貰っていいならするよ?」
「それもいや…」
「もちろん くみこちゃんもいやでしょ?」
「う、うん」
「そうなると 誰ともしないってことになるよ?」
「そんな…」
「ゆいちゃんが先なら全員出来るでしょ?」
「それを それを壊した…」
「そうなるよね」
「わたし どうしよう」
「それを話し合うために行くの これから」
お風呂からあがり
パジャマ姿のまま
台所からおにぎりを持って
おさむの部屋に向かう幸子と綾だった