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上野家のある週末
【SF 官能小説】

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反撃-4

正輝は頷き落ち着く為オレンジジュースを一口飲むと、

「あの男達は何者なの?」
「母さんとどんな関係?」

と聞いた。恵は頷き、

「彼らは、ベガァ人よ。」

と言うと正輝は考え込む様に、

「ベガァ?」
「聞いた事が無い国だ。」
「何処に有るの。」

と訝し気に聞くと恵は正輝を見つめ、

「この星の者では無い。」
「彼らは戦いに敗れ、元居た星を追われ今はこの銀河の端の方に本拠地を構えている。」

とゆっくりと話した。正輝に話した言葉の意味が伝わる様に。正輝は目を見開き、

「宇宙人て事?」
「あの黒人と白人は宇宙人なの?」

と思わず大声を出す。恵は頷く。正輝は黙って考え込む。

(光線銃も持っていたし、それを僕に使った。)
(僕の頭に連中が嵌めた輪っかは、体の動きどころか声さえ奪った。)

と聞いた事も無い技術を持っていた事で、薄々そうでは無いかと疑っていた。そして恐る恐る、

「母さんもベガァ人なの?話していたよね。」
「母さんも宇宙人なの?」

と肝心な事を聞く。人間離れした身体能力に、光線の出るブレスレット、現れた小型の宇宙船、自動で浮いて光の膜を張る白い箱など浮世離れした数々の出来事を見て正輝はそうでは無いかと思っていたのだ。

「私はベガァ人では無い。」
「この星の者では無いから、宇宙人かな。」
「私はアルファ、アルファ人よ。」

と恵は微笑んで答える。正輝は、

「アルファ人!」

とオウム返しに大声で答え、予想通りとは言え母親が宇宙人と知ってショックだった。そして当然の如く、疑問が湧いてくる。

「じゃあ、僕もアルファ人なの?」

と聞くと恵は首を振り、

「違うわ、あなたは人間よ。」

と言い、正輝の目をしっかりと見て

「あなたにこれから話す事はショッキングな事かも知れないけど、良く聞いて。」

と言うと恵は、自分が惑星探査の任務を帯びたアルファ人の『Vel』で任務をスムーズに行うに当たり人間の体、その時死亡していた恵の体を借りたのだと話した。

Velの脳を恵の脳に転写して一体化を図る『融合』を行ったと説明し、恵が妊娠していたのは分かっていたと言った。お腹の子は死亡したものと思っていたが仮死状態だったと後に判明。その子が正輝だと話した。

恵の体を任務のためアルファの遺伝子技術で強化した為に正輝にもアルファの遺伝子が受け継がれたと思われた。正輝の体も強化され頑強なだけで無く、並外れたパワーも持つと。

「だから、あなたに他の人間の子達との交流をしない様に求めた。」
「クラブ活動をやらない様に言って来たのも同じ理由。」
「人間に露見すれば、悪い影響が出ると判断したの。」
「あなたには迷惑だったかも知れないけど。」

と恵は済まなそうな様子で伝え、

「あなたには酷な真実かも知れないと思う。」

と頭を下げた。正輝は戸惑っていた。

「僕の本当のお母さんは既に死んでいる?」
「母さんは見掛けは人間だけど、頭の中はアルファ人?」

と何とか理解しようと言葉を口に出して言う。恵は頷き、

「ええ、そう。」
「この国の成人年齢である18歳になったら全てをあなたに話す予定だった。」
「そして、あなたが希望すればどの程度アルファの遺伝子が入っているのか検査もね。」

と言い、

「体が十分に成長してからじゃ無いと、はっきりした事が分からないから。」
「あなたは十分に成長してるけど、まだ成長途中だし。」

付け加えた。正輝は俯き考えていたが、顔を上げ恵を見て、

「中身がアルファ人でも、今の母さんが僕の母さんだ。」
「今の母さんしか知らないし、僕にとっては母さんに違い無い。」

と話す。その言葉を聞いて恵は自然と涙を流した。そしてそんな反応をした自分に驚いた。

(私は正輝を本当の息子見たいに思っているのかしら…)
(アルファではとうの昔に途絶えたと言う親子関係…)

と恵は戸惑うも口に出した言葉は、

「ありがとう。」
「嬉しいわ。」

と感謝の言葉で本心だと自分でも分かっていた。正輝は照れながら、

「泣かないで。」
「母さんを泣かすつもりは無かったんだ。」

と呟くと話題を変える様に、

「母さんが頭の中身だけ、今の体に移したのなら何処に本当の体が有るの?」

と聞いた。恵は頷き、

「ええ、納屋の地下にシップが有ると言ったでしょ?」

と言うと正輝は頷く、

「そのシップの中に私、Velが保存されているわ。」

と恵が言うと、

「母さんの本当の姿を見て見たいな。」

と正輝が興味有り気に言う。恵は笑い、

「多分、ショックを受けるわ。」
「今の姿とは全く違う。」

と話すと正輝は、

「そうなの?」
「どう違うの?」

と聞いてくる。恵は少し考えて、

「地球人が考える宇宙人に似てるわね。」
「人間より頭と目が大きく、体、口、鼻は小さい。」

と説明すると正輝は不思議そうに、

「あの閉じ込めたベガァ人?」
「彼らは人間そっくりなのに、母さん達は違うの?」

と聞いてくる。恵は頷き、

「かつてはアルファも人間みたいだったの。」
「でも地球よりかなり昔に知的生命体として生まれ進化して今の姿になったのよ。」
「ベガァはアルファより後に現れた種族だけど、彼らは退化する体を遺伝子技術で補っているの。」
「彼らは好戦的な種族だから大きさと頑強さを体に求めているからよ。」

と説明した。正輝は、

「じゃあ、宇宙人はみんな元は人間見たいな姿なんだ。」
「タコ型宇宙人とかいるかと思ったよ、SF映画みたいに。」

と意外だと言う風に笑う。


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