嫉妬-5
昔ながらの大宴会が行われた。終盤になると席もめちゃくちゃになり、部や課も入り乱れて飲んでいた。
すると、ビール瓶を持った清水が現れた。逃げようと思ったが、清水に手を掴まれる。
「何逃げとるんかー一杯付き合えやー」清水は、関西出身であり、軽快な関西弁でのトークから、女子社員には人気があった。
「あいつとは、うまくいっとんのかー?」と清水が祐の話をしてくる。
答えようかと思ったそのとき、薫子が現れた。かなり酔っている様子だ。
『清水さんだーねえねえ、質問していいですかあ?』
清水は、この酔っぱらいが・・・という表情をしながら言う。
「なんや、言ってみい」
薫子は、美月をチラチラと見ながら清水にしなだれかかり、『下の毛を全部なくしてる女性って、なんでそんなことしてるかわかりますかあ』
いきなりの下ネタに清水は苦笑いしながら答える。
「そりゃ、モデルみたいな仕事をしてるか、嫉妬深い男がおるかの二択やろ」
薫子は、うふふと笑って、美月に向かって言った。
『祐さんって、嫉妬深いんですかあ?』
美月は、黙ってコップを置き、席を立った。
立つ直前に清水が見せた驚きと雄の表情が頭から離れなかった。
トイレに向かうと祐が立っていた。
「美月、その部屋に入ってろ」
トイレのそばのリネン室を指している。美月は、黙ってそこに入り、襖を閉めた。
廊下の話し声は、丸聞こえだった。
しばらくすると、清水と祐の話し声が聞こえる。
「なんや、そんなにいいサイトがあるんか?」清水もかなり酔っている。話からすると、祐が、アダルトサイトのいいものがあると清水に教えるようだ。
『なかなかいい動画があるんですよ。素人の投稿ものなんですが』
「ほうほう、見せてみいや。」
【使ってください、お願いします。】
女性の悲痛な声が聞こえた。
美月は、声を出しそうになり、自分の口を押さえた。
間違いない。美月が祐に懇願している動画だ。
祐がとぼけた口調で言う。
『わっ、音が大きかった!』
「すごいな、この女は相当いやらしいな。
ん?これは、パイパンか?」
『ですね。入れてもらいたくて、必死ですね。』
「これ、もしかして・・・」
清水が気づいた瞬間、祐は、動画を止めたようだった。
『なかなかの動画でしょ。嫉妬深い彼氏にパイパンにされ入れてもらえない女が懇願してるって言うやつです。戻って飲み直しましょうか?』