異変-3
恵は敢えて身体を正輝に向け髪を洗う。
（正輝が見たい物を見せる。）
（身体を見せて、正輝の欲求が収まれば良いけど。）
とマザーに伝える。マザーは、
（そうね、それで少し様子を見てみましょう。）
と同意する。恵は、
（見せ方も工夫が必要？）
（どうすれば、正輝の望みに応えられる？）
とマザーに尋ねる。マザーは、
〈胸や股間を強調して洗うとか？〉
〈こんな風に。〉
と返して映像データを送って来た。恵の脳内で再生されたそれは、シャワーを浴びる女を男が隠れて見ている物だった。
〈母親のシャワーしている様子を息子が覗いている他の国のポルノ動画よ。〉
とマザーが説明する。恵は、映像を参考にボディソープを身体に付けて手洗いする。豊満な乳房を揉みしだいて見せる。すると正輝は、ズボンを慌てて脱ぎ捨て勃起した性器を擦り始めた。それを見て恵は、
（これが、人類のMタイプの自慰行為？）
とやや驚きながらマザーに尋ねる。マザーは、
〈そうよ、あなたの行動が刺激になったのね。〉
〈余り見てはいけないわ。気付かないふりをして。〉
と返す。恵は、
（分かった。）
と言うも、気になり横目で正輝の行動を窺う。映像の女性が自分の胸を激しく揉み、乳首を摘んで身体を揺すっていた。恵も同じ様にすると身体に刺激が走る。特に乳首を擦るとそうなる様だ。恵は戸惑い、
（これは、何？）
とマザーに聞く。マザーは、
〈心地良い感覚でしょ？〉
〈性的感覚よ。〉
と教えてくれる。恵は更に送られて来る映像を参考に激しく自らの胸を揉んで、両乳首を指で挟んで擦る。思わず顔を上げて反応し、
「あぁ…」
と吐息の様な声が漏れる。マザーが、
〈あなたは今性的に興奮してるの。〉
〈かつてのアルファ人もそうだったのよ。〉
〈今、あなたの身体は人類である恵と融合しているから、人類、恵の感覚機能が作用するの。〉
〈恵の性的感覚ね。〉
と指摘する。転送されたポルノ映像の女性は、下腹部の下を洗っている。シャワーノズルを下腹部に向け念入りにシャワーしていた。恵は同じ様にすると性器付近にシャワーが当たり心地良い。
映像の女性が陰毛に隠れた性器を左手で露わにして右手でシャワーノズルをその性器に向けていた。同じ行為をした恵の口から、
「あっ！」
と思わず声が浴室に響く。反射的に横目で正輝を確認すると正輝は自分の性器を擦るのを忘れた様に手の動きを停め、恵の股間、性器に正輝の目は釘付けになっていた。
正輝は信じられなかった。恵の股間は剛毛と言っていい程陰毛で覆われており性器は全くと言って良い位に見えなかった。それを恵が下半身をシャワーし始め、あろう事か陰毛をかき分け性器をシャワーしたのだ。
正輝は必死になって自分の性器を擦っていた右手を止め思わず恵の股間に見入った。恵の性器の割れ目が確認出来た。黒い陰毛の中からパックリと赤い皮肉が見えたのだ。その割れ目にシャワーが当たった瞬間、恵の口から声が漏れたのも聞き逃さなかった。
（母さん、感じてるの？）
そう思うと正輝は再び右手で自らのコックを激しく擦っていく。恵はシャワーを性器に当てながら顔を上げると左右に振り、目を閉じ形の良い眉を寄せて切なそうな表現を浮かべると、
「あっ！」
「ああ！」
と声を出して、浴室に響かせていた。恵はゆっくりとシャワーノズルをフックに掛けると身体を正輝のほぼ正面に向けた。そして両手で性器を拡げる、赤い美肉が露わになり膣穴が見える。正輝の性器は、擦られ大きく硬くなり巨大な亀頭は天井を向いていた。
恵が性器を拡げたまま右手の人差し指でクリトリスを軽く何回か擦った後、膣に挿入した。そして、人差し指を何回か出し入れする。正輝は恵から目を離せずに更に性器を上下に速いスピードで擦っていく。
恵の大きな二つの乳房が揺れ、乳首が立っているのが確認出来た。恵が膣に指を入れ数回で身体を震わせ絶頂したと思われた時、正輝の興奮は最高潮に達し大量の精液を浴室近くの壁に発射したのだった。
恵は自分の行為が信じられなかった。ポルノ映像の女性を参考にした行為だったのだが、途中からほとんど無意識に身体が動いた。身体の中、性器の奥から込み上げる物を感じたと思うと制御出来ない快感が身体を走ったのだ。
（何が起こった？）
と混乱する思考の中、マザーに問いかける。
〈落ち着いて、Vel！〉
〈あなたが経験したのは、絶頂よ。〉
〈性的に最大限に達した状態になったの。〉
とマザーが説明する。恵は、
（驚いた。）
（耐えきれない快感が湧き上がって、性器から脳まで電気信号が走った。）
（とても気持ち良い感覚。）
と恵は顔を赤らめ説明する様に返答する。そして、
（私、どうしてあんな行動に？）
（途中から映像以上に過激と思われる行為をしたの？）
（自分でも予想外の行いだ。）
と戸惑う。マザーが、
（正輝に応えようとした行動があなたの中の恵の性的記憶を呼び覚ましたのね。）
（人類の性的欲求は本能的欲求でとても強いもの、かつてのアルファ人もそうだったのよ。）
（お互いの性的行為を見せ合う事で２人共より性的に高まった。）
（性的に高まった事で恵の性的行為の記憶が呼び覚まされ、あなたにあのような行動をさせたのよ。）
（他の生命体との融合では起こり得る事だわ。）
と説明する。恵こと、Velは頷いて理解を示しながらも
（恵の本能的欲求が身体を支配する場合もあるのか。）
（性的行為や興奮がその引き金となり得ると。）
（でもその時の私はVelと言えるの？）
と少し不安になった。