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月灯り
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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妻の提案ごと-2

「その子のは、大きいのかなあ」
「十六センチって書いてきたから、小さくはないかな」
「でも、君は、大きいのはダメだったんじゃないか」
 妻に勃起した姿を見せた後、私たちは何事もなかったように食事をし、いつものように別々に入浴し、そして、いつの頃から、そうしたのか別々のベッドに入った。大きな家でもないのに、狭い寝室にシングルサイズのベッドを強引に二つ並べて置いたのは、いつのことだっただろうか。
「アナタ、気づいてなかったの。まあ、気づかないか。隠すつもりもなく、無防備に、ここに、ほら」
 そう言って妻は枕元の小さなタンスの引き出しからハリガタを取り出した。それは私の知っているバイブレータと言われるような物ではなく、ただ、男性器をそのまま模ったような簡素な作りの物だった。色も肌色なのだが、しかし、決してリアルな作りというわけでもなかった。
「そんな物、使ってたんだ」
「使ってたんだよ。だって、私は、まだまだ女が盛りなんだもん。最初は、ちょっと大きくて、どうかなって思ってたんだけど、今は、すっかり慣れちゃった。でも、誤解しないでね。こんな物より、やっぱり、ちょっとでも、あなたのそれでしてくれるほうが気持ちは良いんだよ。これは、あなたの代用品。あなたのより大きいけど」
 私より大きな物が私の代用品とは笑えない。笑えないジョークなのだ。私は自分がバカにされているようで腹立たしかった。ところが、そんな心とは裏腹に、私のそれは再び元気になっているのだった。私は、妻に、それを使っているところを見せてくれと、せがんだ。最初こそ、恥ずかしがっていたが、私に根負けしたのか、あるいは、そもそも、最初から私にそれを使わせたかったのか、その物のゴムを被せた。そして、さすがに自分でするのは恥ずかしいから、あなたが入れて、と、そう言って来たのだ。
 私は、何もかもを妻にリードされているな、と、そう訝しく思いながらも、それに乗った。いや、乗せられた。自分のそれが妻に入るところなど見たことはなかったが、それが妻の中に入る瞬間、何だか男としての自信と支配欲を取り戻せたような気がした。それは性の玩具でしかないのに、まるで、私は自分こそが逞しい男となったかのような錯覚を持てたのだ。そして、その自信が私のそれにも伝わって、その部分は、まるで十代の頃のようにときめいているのだった。
 本来なら、そんな大きな物を入れた後に、自分の小さな物を入れるなど、屈辱でしかないはずなのに、何故か私は、自分のそれさえもが逞しい大きさになったかのような錯覚のままに、妻に挿入した。妻もいつになく悶えた。もしかしたら、出会った最初の頃のセックスよりも、妻は興奮していたかもしれない。
「代用品なの」
 妻の中で果てた私を下から抱いて妻が言った。
「代用品かあ」
 妻に抱かれ、髪を撫でられながら私は呟いた。
「代用品なの。これも、そして、男の子も」
「うん。いいね。代用品。それなら、やっぱり男の子のそこは大きいほうがいいなあ」
 妻は恥ずかしそうに私の身体を下から引き寄せ、体重がかからないように気遣っていた私を無視して、その顔に私の胸を乗せた。
 男の子を私たちの家に招くのは、さすがに怖かったので、私たちは、都内のシティホテルで会うことにした。全ての段取りは妻が整えた。


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