飛んで火に入る……-1
……………………………………………………………………………………………………
…………
{こちらは通学途中にあるコンビニの防犯カメラの映像です。井元彩花さんが一人で登校してる様子が映ってます}
{放課後になって担任の浅井先生が「心当たりがある」と探しに行って、そのまま行方不明に……}
テレビが置かれた広めの部屋に、男共は屯している。
コンビニ弁当を食べている者やビールを飲む者。
そしてパソコンに送られてくる『購入希望』のメールをチェックする者。
その中に、撮影を無事≠ノ終えた女性の姿があった。
えんじ色のブレザーを着て、後ろ手に枷を嵌められた古芝風花である。
『風花ちゃん、お友達がい〜っぱいテレビに出てるよお?』
『テレビに向かって「助けて!」って叫んでみたらどうだ?ワケわかんねー電波に乗って、アイツらに伝わるかもしんねえからよお』
事件発覚から五日を過ぎたあたりから、実名での報道に切り替わっていた。
やはりというべきか、二人……いや、三人が通っていた高校には来訪者がひっきりなしになっていた。
その来訪者とは、古芝風花の仲間共である。
『ご注文頂きましたあ。夏美・彩花・風花・唯のフルセットでぇす』
『風花ちゃんのおかげで、売れなかった夏美のDVDも売れるようになったぜえ。ホントに風花ちゃんには感謝しかねえなあ』
DVDのタイトルは変えられ、
[探していますーvol.1夏美]と改められた。
パッケージも一新され、捜索ビラを全面にプリントされたものに変更された。
作品はvol2・3・4とシリーズ物となり、それがお客様の購入意欲と収集欲をうまく擽るかたちとなっていた。
とりわけ風花が取材した時のニュース映像をチャプター1として追加して再編集されたvol1
は好評で、オリジナルの[フレッシュオマンコ・夏美]を購入していたお客様までもが予約を入れるほどであった。
「……ぷは……い、井元さんは…?浅井さんは……?」
目も虚ろな風花が、姿を見せぬ二人を探す。
呑気なものだ。
汚物の海に突き落とされ、踏みつけにされての凌辱に思考停止してる間に、あの二人は完膚なきまで食害されていた。
夏美の情報を求めるビラをプラカードにされての輪姦に、やはり彩花は耐えきれずに壊れ、その光景を目の当たりにした唯も、後を追うように崩壊した。
姦すに値しない《再起不能》の二匹は、撮影の翌朝には売りに出されて処分されている。
もうここには風花しか居ない……。
『……ん?ああ、あの二人かあ。もう撮影が終わったから、別の部屋で休んでもらってるぜ』
もはや性欲の捌け口に使えるメスは、風花だけである。
さすがに同じ高校で生徒と教師が立て続けに消えた事件は、かなりの熱を帯びた報道となっていた。
世の中の騒ぎを無視し、直ぐに次の獲物を……という訳にもいかず、ならば不恰好なモリマンと汚いクソ穴の風花であっても、誰も居ないよりはマシというもの……。
「んぎッッ!!??」
いきなり風花は小さく叫んだ。
目の前に差し出されたスマホの画面に、性別が分からなくなるほどに殴打された顔面が映し出されていたからだ。
『なに変な声出してんだあ?コレは海外でギャングに殺された女の顔だあ。クククッ!安心しなよ、彩花とか唯じゃねえんだからよお』
「は…ッ…はひッ…ひ…ッ」
風花の呼吸は恐怖に乱れる。
凌辱の最中、男共は風花に対して『オマエらは使い捨てだ』と言った。
夏美はおろか、数ヶ月前に失踪した由芽もかずさも未だに行方不明のままだ。
姦して撮影が終えた後の女性を、いったい何処にやったというのか……?
今見せられた惨殺体は未来の自分かもしれないという恐怖は爆発的に膨張し、そして、撮影の直後に何処かに引き摺られるように運ばれていった、彩花と唯の未来かもしれないのだ……。