愛する女の為に-3
(ああ、萌香ちゃんの匂い…、やっぱいいなぁ…)
ナチュラル系の爽やかな匂いにドキドキが止まらない。パソコンに目を向けてはいるが心ここにあらず状態で頭の中は雲の上でフワフワ浮かんでいる。五感が萌香の匂いに犯されてしまいそうだ。ポワンとしていると、遠くから名前を呼ばれているような気がしてスッと意識が戻る。
「井上さん?…井上さん?」
ハッとしてすぐさま返事をする彰。
「は、はい…!?」
ビクッとした彰につられて萌香もビクッとする。
「あ、ごめんなさい…。私、何をすれば…」
「あ、ああ、そうですね…。新作のレビューをまとめて貰ってもいいですか?僕はレイアウトを直すんで。」
「はい、分かりました。」
萌香は渡された資料を見ながら新作レビューを書く。彰は気を取り直し、春のピンク基調のホームページを新緑の緑基調のレイアウトに変えていく。
「あ、いいですね、緑。私、緑、好きなんです。」
「そうなんだ。確かに緑、似合うね。」
「ありがとうございます♪」
少しはにかむ姿がたまらなく可愛い。
(パ、パンティも緑かな…)
萌香を横目で見て妄想してみる。真緑はあまり履く人はいないだろうが、緑好きならエメラルドグリーンかなと妄想する。
(萌香ちゃんのパンティ、ホントに脱がせる日が来るのかな…)
まだ全然そんな気はしない。だが鉄平が必ず萌香と付き合わせてやると言っている事が心強い。鉄平に任せておけば気付き合える、彰はそう信じていた。
「も、萌香ちゃん…」
「は、はい…」
「俺、新しい企画考えたんだけど…、ビフォアアフターでギャップを見せたいかなって。」
「ギャップですか?」
「うん。例えば大人しめな私が少し冒険してみました、みたいな。普段ロングスカートばかり履いてる女子がこの服を来てこんなにイメージ変わりました、みたいな。逆に派手派手系を好んでる女性が森ガール的な服を着てこんなにイメージ変わりました、とか。」
「ギャップですか…。いいですね!いいかも!」
「ありがとう!じゃ試しにやってみようかな…。萌香ちゃん、モデルやってくれないかな…」
「えっ!?わ、私がですか!?」
「うん。是非」
「じ、自信ないですぅ…」
「自信ないからいいんだよ!自信ない私が勇気を出してこの服来てみたらなんか世界が変わりました、みたいな。ねっ?お願い!」
萌香は下を向きモジモジしたが、ゆっくりと顔を上げ、
「分かりました。やってみます…」
と答えた。