「会社の上司と妻」-18
それは綾子の下腹部、胸、顔のあたりにまで飛んだ。妻の身体が上から下まで、男の精液によって汚されていく。健一はそれを見ていて、背筋が凍りついた。自分よりも明らかに大量の精液を、妻の体内に注ぎ込まれる寸前だったのだ。
近藤もさすがに渾身の射精をしたせいか、ハァハァと荒い呼吸をしている。そして、妻の身体に覆い被さっていった。
2人は行為後の熱いキスを始めた。いったん口を外し、綾子が近藤へ「外に出してくれて、ありがとう」と言った。そして、またキスを再開した。それはもう夫婦か恋人のような熱いキスだった。
健一はゆっくりと後退し、静かに階段を登っていった。近藤に対し、オスとして完全な敗北感を抱いた。もう今後、自分が綾子を抱いても、綾子は満足できないに違いない。あれだけ強烈な快感を知ってしまったのだ。
2階の部屋に入り時計を見ると、もう深夜12時を回っている。今夜もまた、自分は寝たふりをしようか、それとも今すぐ止めにいくべきか・・。健一は悩んでいた。
おそらく階下の和室では、近藤が2回戦を迫っているに違いない。こうして悩んでいるうちに、すでにもう始まっているかもしれない。
その時だった。突然、健一のスマートフォンにメールが入った。相手は綾子からだった。「今、終わったよ」と短い文章に対し、健一は嬉し涙をこらえるのに必死だった。
すぐに階下へ降りていくと、綾子と部長が和室の前に立っていた。当然ながら、綾子は先ほどまでの赤くて薄いベビードールのようなものは着ておらず、普通のシャツを身につけていた。近藤のほうも衣服を着ていた。
「草野君、いや・・、いい奥さんを持ったな。正直、羨ましいよ。今夜もまた、奥さんの手と口でタップリ抜いてもらったが・・、やはり君の奥さんは最高だな。これほど気持ちのいい射精は、ワシも初めてだったかもしれん。次は、また明後日の夜に寄らせてもらうよ」
「ぶ、部長さん・・。ちょっと・・。主人の前でそんな・・、抜くとか言わないで」
「ああ・・、奥さん。すまんすまん。じゃあ、ワシはこれで・・」
そう言って、近藤は玄関を出て行った。綾子は健一に「もう先に寝ていて」と伝え、すぐに浴室へと向かった。健一も12時を過ぎていることもあり、そのまま自室に戻り、綾子が2階へ上がってくるのを待たずに深い眠りに就いた。
そして、深夜の1時前。2階の寝室にいた綾子は、そっと部屋を抜け出した。廊下を少し歩き、夫の部屋の前で立ち止まる。しばらくして、綾子の姿は階下へと消え、そして音を立てぬよう玄関から外に出た。
その夜。草野家の駐車場に置かれている車は、明け方近くまでギシギシと揺れ、車内の後部座席からは女の泣くような声が漏れ続けていた。