2 某電機メーカーの人-2
サチの口から苦痛とも聞こえる声が出た。
サチの身体はまだ十分には濡れていなかったのだ。
吉岡はそれを全く気にすることもなく腰を動かし始めた。
「や、やめて…」
サチがそう言うも吉岡はやめなかった。
吉岡は尚もサチの身体を強く突いていく。
川のせせらぎの音と鳥のさえずる音の中にサチの喘ぐ声が混じって聞こえてくる。
吉岡の荒い息遣いも混じっていた。
吉岡は身体を震わせるとサチの身体の中に射精したのだ。
「サチ、お前は俺のものだ。誰にも渡さない…」
そうサチの耳元で囁いた。
サチはそれを聞くと気が重くなった。
旅行に行くとこうして毎回吉岡から半分強引にセックスを強要されていたのだった。
そして、最近は、吉岡と飲みに行くと必ず帰りはラブホに行くのが習慣になっていった。
サチは吉岡のことは嫌いではなかったが、セックスに関しては余り相性が良いとは感じていなかった。
吉岡とのセックスはサチにとって苦痛だったのだ。
この日もサチは吉岡と一緒にラブホに来ていた。
「一緒にシャワー浴びようせ!」
「う、うん…」
サチは少し嫌な気がしたのだ。
シャワーに入ると吉岡はサチの綺麗で白い体にボディソープを付けて撫で始めた。
いつもサチは吉岡から体をボディソープで隅々まで洗われたのだ。
シャワーから上がるとそのままベッドに押し倒された。
吉岡のキスがサチは好きではなかった。
まるで犬にキスされているような感じだったからだ。
初めてのキスの時はフレンチのような感じだったとサチは思い返していた。
吉岡のキスは口の周りを犬に舐められるかのようなキスだったのだ。
サチはキスをしてくる吉岡の顔を離した。
吉岡はサチの体を愛撫し始めた。
クンニなどはしなかったものの身体中を舐められ続けたのだ。
でもサチの体はとても敏感だった。
身体中を唇で愛撫されるだけでも体が熱くなるのを感じずにはいられなかった。
サチの花びらは甘い蜜で溢れていた。
その花びらに吉岡は指を入れてきた。
「もう、こんなに濡れてるの?いやらしいな?」
「恥ずかしいからそんなこと言わないで…」
サチはとても恥ずかしかったのだ。
吉岡はサチの体を自分の体の上に乗せて脚を開かせまたがらせ騎乗位の態勢にした。
「入れろよ」
「う、うん…」
サチは言われるがまま吉岡のペニスを自分の花びら奥深くに入れた。
「あぁ…う、ん…」
サチから甘い声が聞こえてきた。
「お前の締め付けスゲーな…。き、気持ちいい…」
そう吉岡は言うとサチの腰をしっかりつかんだ。
「腰振れよ…」
吉岡はちょっと命令口調で言ってきた。
サチは腰を振り始めた。
「もっと激しく!!」
尚も吉岡は言ってきた。
サチは尚も腰を振った。
吉岡は自分からピストン運動をしようとはしなかったのだ。
「あぁ、き、気持ちいい…」
吉岡からそんな言葉が漏れてきた。
サチは腰を振りながら段々と疲れていった。
気持ち良いという感覚はなかったのだ。
暫くすると吉岡は体を少し震わせると逝ったようだった。
サチはと言えば、逝ってはいなかったのだ。
吉岡はゴムを付けることもしないような男だった。
サチは自分でピルを飲んでいたので妊娠をすることはないと安心していたがやはり吉岡とのセックスは余りしたくないと思っていた。
こんなことが1年くらい続いて行った。
吉岡はものすごく嫉妬深く、束縛する男性だった。
サチは猫のような女性だった。
相手を束縛することはもちろん、自分自身も束縛されるのを嫌っていた。
吉岡は毎日サチに電話をするようにと言ってきた。
サチは別に吉岡と話すことが無くても毎日吉岡に電話していたのだ。
吉岡の要求は尚も続いた。
毎週水曜日は必ず吉岡のマンションに行き、夕飯を作るというものだった。
サチは毎週頑張って仕事の帰りに吉岡の家に行っては夕飯を作った。
その水曜日の夜も吉岡のセックスの相手をするのだった。
吉岡は毎週末には必ずサチの家か吉岡の家にお互い泊まるようにと言ってきた。
サチはその通りにしたのだった。
吉岡はサチとの結婚を考えているようだった。
でも、サチは吉岡と結婚しても直ぐに別れるだろうと感じていたのだ。
サチの気持ちは段々と吉岡から離れていった。
もうこれ以上吉岡からの束縛に耐えられなくなったからだった。
サチは吉岡と距離を置くようになった。
それを知った吉岡はかなりショックを受けた様だった。
サチはもう吉岡と会うのをやめようと思っていた。
そして、サチは吉岡にこう話したのだ。
「別れたいの…」
「どうしても俺と一緒にはなれないのか?」
「うん、無理。ごめん…」
「…」
こうしてサチは吉岡と別れてしまったのだ。
後日、吉岡から社内メールが届いた。
「俺が、縛りすぎたんだな。悪かった」
そう、書かれてあった。
その頃はすでに吉岡は他の部署に移っていた。
その後、サチは吉岡と二度と会うことはなかったのである。