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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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姉との電話-2

 「まあ、いまどき、電話もかけんで手紙を、しかも妹二人にせっせと手書きで送ってよこす姉ちゃんも相変わらずやけどなぁ」
 「そやねぇ。〇子姉ちゃんも孫が生まれて楽しかろうねえ」
 「そうや。すっかりおばあちゃんやわ。そんな近況報告も書いてあるから、あとでゆっくり読んだらええわ」
 「そうなんか。悪いことしたわ。〇子姉ちゃんには黙っといてや」
 「アホ、もう遅いわ。なんせ、アンタが『何にも云うてこんけど、どうかしたんやろか?』って〇子姉ちゃんからさっき電話がきたくらいやからな」
 「えっ、そうなんか…。…それにしても、なんで直接電話よこしてこんかったんやろ」
 「さあなあ…。お取込み中に電話したら悪いとでも思ったんやないか?(笑)」
 「お取込み中?…それ、どういう意味や?」
 「意味? そりゃぁ、お察しのとおりやろなぁ」
 「んもう…。家にいるときにお取込み中のときなんてあるんか?」
 「まあ、わたしもそう思うけどな。〇子姉ちゃんにとっては家にいるときでもお取込み中のときがあるんやないか? それで気を遣ったんやろ」
 「へえ…。…すごいな」
 「すごい、って、あんた。まあ、わたしもすごい、って思うけどな(笑)。おっとりしてる風で、行動は大胆やからなあ、昔っから」
 「そうやなあ。あ、そうそう、そんなこというたら、お母ちゃんが送ってくれたマスク、〇子姉ちゃん、あれつけて買い物とか行ってそうやな…」
 「あはは。あれにはびっくりしたわ。あんたもしとるんか?」
 「まさか。さすがにあれは無理やって。▲子姉ちゃんもやろ?」
 「ふふっ(笑)。でも、あれ、評判ええで?」
 「評判? 誰のや?」
 「…まあ、そんな話はまた今度たっぷり話そうか(笑)」

 おっとりしているようで大胆な長姉…。何かとサバサバしているようでいろいろ気配りもする次姉…。

 「旦那さんと相談まとまったら連絡してや? 同じ新幹線で行こうや。ああ、ウチへの連絡は手紙じゃなくてええからね。電話してや。家に居れば出るし、居らんなら出られん。じゃあね」
 「ちょ、ちょっと…。わたしから〇子姉ちゃんに電話した方がええん?」

 次姉はせっかちに電話を切ってしまった。白い歯で笑っている面影が目に浮かぶ。わたしはすぐに長姉からの手紙の封を切る。次姉が言っていた通りの内容が流麗な文字で書かれていた。母は神経痛に悩まされていたが、なんでも腕のいい整形外科が見つかって、ちょっとした手術をすれば痛みから解放されるということらしい。母は、痛みを気にせずに身体を自由に動かせるようになるというなら、とためらうことなくすぐに手術を受けることに決めたそうだ。

 (お母ちゃん、リフレッシュしたらますます元気になりそうやなぁ…)

 手紙には〇子姉の近況も綴られていた。孫の面倒をみながら楽しく暮らしていること、ときどき実家に母を訪ねては小さな畑をつくって野菜を育てていることなど。そして…

 『遅まきながら、充実した日々を過ごしています』

 文字が綺麗な分だけ妙になまめかしい。電話してあれこれ訊いてみたいような気もするが、わたしに連絡がついたことは、せっかちな次姉から直ちに伝えられていることだろう。

 まだまだ生きる意欲に旺盛な母、そして二人の姉。末娘としても、歳は喰ってしまったが、あちこち痛いなどとは言っていられない。屈伸運動やらストレッチの真似事を始めてみる。

 (痛…。)


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