妻を他人に (5) 妻の下着-2
この反応ではきっと汚れていたのだろう。
というかそれを夫に見られたのも恥ずかしい。この人は女性経験が少なそうだから、女性のショーツがいったいどれほど汚れてしまうかなんて、きっと知らないだろう。女性は尿道が短くて尿が漏れやすく下着を汚しやすいなんて知識も持ち合わせていなさそうだ。
しかもこれを穿いたのはおりものが多い日だったのに、運悪くおりものシートを切らしていた。直に穿いたショーツにはきっと汚らしい、クリーム色のネバネバが付着してたに違いない。ああ、考えただけで鬱になる。
そうだ、あの日は夫とエッチもした。下着を脱がされる前にいい雰囲気でキスをして抱きしめ合い、おっぱいを愛撫された。いつものようにZくんのことを想像させられ、ショーツの中がぐちょぐちょになっているのが自分でもわかった。エッチの後ショーツを穿くと、クロッチの部分がひんやり、そしてぬめっとしていて気持ち悪かった。夫の前で拭き取るのも恥ずかしいので、そのまま眠りについたのだ。朝は朝で慌ただしく取り替えられぬまま仕事に出かけ、帰宅してお風呂に入るときようやく脱いで洗濯カゴに入れたのだが、ストッキングに包まれ蒸れた状態で一日仕事をしたあとの私のショーツは、嗅ごうとしなくても酸っぱくていやらしい匂いを発しており、思わず顔をしかめたほどだった。
あぁ、嫌だ嫌だ。返却されたショーツを確認するのが怖い。
確認せず捨ててしまえばいいか。しかしこれはお気に入りの一軍下着。まだ数回しか着用していない。ショーツだけ捨てればお揃いのブラジャーも無駄になる。返却されてしまった以上、やはりもったいない。
「あーー! ちょっとパパ! やだ! なにやってるの!?」
私の気も知らず、夫が勝手にショーツを手に取り広げていた。
黒のレース使いが可愛らしい私のショーツ。エッチすぎず、でもほんの少し色気もあって大人の女性によく似合う。少し大きくなった私のお尻をちょうど良く包んでくれる。シンプルなデザインだけど、よく見ると細かな花柄のレースやフリル、リボンが可愛くて、大事なところ以外はわずかに透けて地肌が見える。やっぱり捨てるなんてもったいない。
「勝手に広げないで! 恥ずかしいから……!」
「でも……俺洗ってくるよ。けっこう汚れてるから」
「よ、汚れてるって……もう! デリカシー皆無の発言しないで!」
「でもゆき、さっきは気にして、自分で聞いてきたじゃん」
「そうだけど! あぁ! もう!」
女心をまったく理解せぬ夫に苛立ち、彼の手から下着をひったくる。
「あーゆき! 待って……」
雑に掴みとったその指先が、ぬるっとした何かに触れた。
「きゃぁ!」
「あーあ、言わんこっちゃない……」
私の指には、Zくんの精液がべっとり付着していた。
*
「ひどいよパパ。使用済みの下着Zくんに貸すなんて」
手を洗い、夫の待つベッドへ潜り込む。
「ごめんごめん、俺はパンティー貸すってのは、つまりもうそういうことだと思ってたからさ」
「むーー」
男性の常識と女性の常識が違いすぎる。
「だからあれから毎日ゆきのパンティーチェックして、汚れがとくにひどい日のを選んで貸した」
「は? パパほんとデリカシーなさすぎ!」
ありえない。ぷいと夫に背中を向ける。
「すごい興奮したんだよ。ゆき公認で使用済みパンティー見れる機会なんてめったにないから」
「使用済みは公認してません。あとさっきからパンティーパンティー言わないで」
やっぱり色々なものが付着していたのだ。
「ごめんねゆき。でも大丈夫だから。俺ゆきの下着の汚れなんて全然嫌じゃないし、むしろ興奮してさ。実はZに貸す前、俺も匂い嗅いじゃった……」
「ほんと男の人って信じらんないことするね」
夫の手が背後から伸びてきて、パジャマの上から胸を触ってきた。なんでこの人はあんなものの匂いを嗅いで興奮しているのだろうか。私に幻滅したりしないのだろうか。変態だから大丈夫か。
「びっくりしたでしょ? すごい汚れてて……」
「うん、びっくりした。女性の下着ってこんな汚れちゃうんだって。ゆきだけなの? それとも女性はみんなそう?」
またもや夫のデリカシー皆無発言。このパンティー童貞め。そのくせおちんちんは一丁前に固くして、さっきからお尻につんつん当たって気になってしまう。
「女性はその日の体調とかでいろいろだから。私だって知らないよ。他の人のなんて見たこと無いもん」
正直なところ今までFくんやYくんにも下着をあげていた手前、夫に強く言えない自分もいる。
夫の手は私の乳房をたぷたぷ弄び、やがて先端の突起に触れてきた。
「ん、んん……。ゆきのこと、嫌いにならなかった?」
「なんで? なるわけないよ! 興奮しすぎてやばかった」
おちんちんがピクンと跳ねる。
どうやらこの人が興奮したというのは本当みたい。ちょっとからかってみようかな。
「やばくなって……どうしたの?」
「ど、どうって……」