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勇者の剣
【ファンタジー 官能小説】

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勇者の剣-11

そこへウィッチ見習いが声を出しました。「私は戦いの呪文は知りませんが、ヒーラーとしてはできる方だと思います。
私一人では無理かもしれませんが、エルフの女王が手伝ってくれたら泉のようなものが作れるかもしれません」
「それはいい」
やってみることになりました。ウィッチ見習いは空き地に魔法陣を描いて、真ん中に穴を掘ります。
最初は面倒な話だと適当にやっていた勇者も、ほかの4人と一緒に穴掘りをしていると、体がぶつかっても「大丈夫か」と支えてやり、そこに性的な感情のないことに自分でびっくりします。≪女とこんな接し方もあるんだ≫
そういえばこの女たちはいつも助け合っていました。そして勇者はそれに助けられ、その身体を奪い続けるだけでした。
一生懸命、だれかと何かをする、生まれて初めての経験でした。
≪汗をかくのもいいもんだな≫ 
穴が深くなってくると、土を掘るものと土を運ぶものの分担ができてきます。声を掛け合い仕事を進めました。
水を撮ってやり、乾いたのどを潤します。
互いに悲鳴を上げる筋肉をもみほぐし合いました。
プリンセスを入れるだけの穴を掘るのに2日かかりました。
女性たちから漂ってくる汗の香りは、勇者の夢利槍をほどよく刺激しますが、完成したときに。みんなで抱き合っても、いきり立ち、吠え上がることはありませんでした。
プリンセスを立たせます。エルフの女王と共に呪文を唱えました。しかし魔法はうまくいきませんでした。
「何が悪いんだ」みんなは黙り込んでしまいます。
うさ耳が、「勇者様は召喚された者ぴょん。ひょっとしたらこの地の気に合わないのかもしれません」
「たしかに、泉の水を濁したのは勇者様でした」
「なるほどそういう可能性もあったか」
考えた末、ウィッチ見習いがもう一つ、魔法陣を描きました。
「では勇者様はこの中に入っていてください。これが防壁となります。最初に勇者様をこの土地から隔離します。それから泉を作ります」
勇者が魔法陣の中へ入ると、プリンセス、エルフの女王、ウィッチ見習い、うさ耳娘が四方向に立ちます。
さっきとはちがう呪文が唱えられました。
勇者が、はっと顔を上げました。 「たばかったな」勇者とは違います、もっと邪悪な声です。それは剣から発せられたものでした。
しかし、魔方陣の外の四人はひたすら呪文を唱え続けました。
勇者は真っ黒な剣を振り回して、「私をとらえることが目的だったのか。お前達、裏切ったのか」叫びます。
それをプリンセスと女王が、剣と弓で防ぎます。うさ耳娘は跳ねまわって、右だ、左だと応援しました。
剣から真っ黒な魔が吹き出してきます。勇者は自分でびっくりして「助けてくれ」声をからして叫びました。
「生き残りたかったら、剣を捨てなさい。その中の魔が操っているのです」プリンセスが答えます。
「できない」剣を持つ手を振って開こうとしています。それから目つきが変わりました。「おまえ達、裏切り者を殺すまでは、できないのだよ」勇者は勢いをつけて魔法陣を破ろうとしました。
「俺をバカにしののしる者たちに裁きをくわえるまでは。
見て見ぬふりをする者たちに、傍観者ではないことを思い知らせるまでは。できないのだよ」
「わたくしたちがあなたを裏切ったことないでしょう、ずっと一緒にやって来たじゃないですか」エルフの女王の声には重みが感じられます。
「勇者様、剣を捨ててぴょん。それより一緒に抱き合おうよ」うさ耳娘がかわいくお願いしました。
「仲間だと思っていたのに、なぜこんなことをする」剣を振り回しますが、人の体では魔法陣を破ることができません。
「勇者よ、あなたは仲間ではないわ、あなたはみんなをもてあそんだだけです。お願いがあります。死んで」ウィッチ見習が言います。
「ウィッチ見習いさん、うまく殺してぴょん」ぴょんと跳ねます。
ウィッチ見習いは動きません、指先まで腕を一直線に伸ばして、勇者へ向けて待ちます。
「くそう、このうさ耳め」勇者はにらみつけます。「一番に生皮をはいでやる」それから、「待って僕の言葉じゃない。僕、死にたくない」別の弱々しい声でした。
「あきらめなさい、ほかの人なら死んでも、いえ、殺すつもりだったのでしょう。あなたでも同じです。殺されなさい」
「死ねぴょん」ぴょん。 「死ねぴょん」ぴょん。うさ耳娘が跳ねまわります。
「おしまいです」エルフの女王も弓を引き絞ります。
「おい、なんとかしろ。偉大なる勇者の命令だ。王となる者の言葉を聞け。こいつらをいけにえとしてささげる。俺を助けろ」
「非力な男などいらん。おまえこそ邪魔なのだ。脆弱な肉さえなければ、こんな封印がなんだ」 魔は剣から飛び出すと魔法陣を切り裂き、うさ耳娘に襲い掛かりました。
「そんなことをすると、勇者が結界に飲まれて死にますよ」エルフの女王が、魔の前にもう一つ結界を張ります。
「そんなゴミ、くれてやる」叫びながら、結界を一瞬で散らせます。
「もらったわ」もう一つ結界を張ります。
「ちゃちなものを」
その一瞬に、ウィッチ見習いはひとこと「滅」
勇者の周りの魔が真っ赤に燃え上がりました。爆発かと思うような炎に焼かれ、一瞬で消えます。後には少年だけが座りこんでいました。
「終わったわ」―――


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