母の日のハハと子-3
僕はそのようすを見つめながら、トシ文とこの場所で(主として)男女の性交ののぞきをしてることを考えてた、
「(ホームセンターを出て)駅やバス停のない方向に向かう男女がおったら、あの場所にセックスしにくるから、先回りしてここへ来たら見られるで。」
そう言って僕をここへ連れてきたトシ文。
そして何組かのセックスを目撃してしまった僕たち。
(その場所でキミがセックスしとるなんて、しかも僕が見てまうなんてどういうことやねん……)
母親がトシ文の脚のうえに乗っかって、腰をゆるやかに動かす。
(母親さんよ……アナタ夢をトシ文に奪われたんと違うんか?)
トシ文が母親の背中に手をまわして、手の指を組み合わせる。
(トシ文。キミはあの手記を読んで、母親がイヤになったんと違うんかいや。……もう、キミの話どこまでがホンマやってん。)
母親がトシ文の頬に手を当てた。
再び深いキスにかかったようだ。
二人からはあえぐ声すら聞こえない。
その静けさがいっそう二人の心身の結びつきの濃さを伝えている。
(何やねん……トシ文、ちゃんと『母の日』しとるやんか。
それに『俺を堕ろしてくれたらよかった』とか言いよったけど、ほとんど母親に種付けしとるやないか。)
僕は、こっちのほうのトシ文が大好きだった。
【おしまい】