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チンモクのハハと子
【母子相姦 官能小説】

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母の日のハハと子-1


   ▽

 二年生になって間もない4月半ば。
 僕は同級生のトシ文といっしょに、カーネーションの飾り付けが目立ちはじめた商店街を歩いていた。

 「『母の日』か……」僕が言葉をもらすと、トシ文は舌を打った。
 「母親なんて、イヤな女や。」

 僕は驚いてトシ文の顔を見た。トシ文は僕に目も向けずに言った。

 「他の奴は他の奴で、母親を好きでおったらええ。そやけど俺は……母親がイヤや。」

 僕は身体が固まった。
 トシ文のお母さんとは何度も会ったことがある。(ちょっとぽっちゃりした、ニコニコしとる女のひとやのに……)

 「キミには」と、トシ文は僕を見た。「どんな女に映っとるか知らんけど、あの女は俺を産んで憎んどるんや。」

   ▽

 それはトシ文がc学生のとき、母親がリビングに置き忘れていた硬い表紙の分厚いノートをペラペラめくったことから始まった。

 そのノートの前半に、若き日の母親は小説の梗概らしい文章を綴っていた。
 しかしその文章を隠すように、母親は料理のレシピの切り抜きを貼り付けていた。
 そのレシピを貼るページは、やがて何も書きこまれていない白い紙になっていた。

 それがノートのおしまいに近づいたころ、緑の蛍光色ボールペンで書かれた文章が現れた。
 目がチラつき読みづらいその文字で書かれていたのは、

 私はトシ文を憎む。

 で始まる手記だった。

 強姦同然に夫に妊娠させられた私は、産まれてきたトシ文によって、文章を綴る楽しみを奪われてしまった。
 授乳するたびに、私の心の中に宿っていたファンタジーやロマンスの構想が、トシ文に吸いとられてしまった。

 そんなトシ文を一家の宝のように扱う夫も憎い。
 貴様たちは私の未来を、オムツの糞尿に混ぜて包んで棄ててしまった。

     ▽

 「それからあと……」トシ文は大きく息をしてうつむいた。「とてもやないけど、言われへん。……
 そんなに産みたくないんやったら、堕ろしたらすむ話やないか……」

 僕は何も言えなかった。


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