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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【15】『夜と舞台と陰の祭』-3

「忘れてないよね〜♪」
「あ、当たり前だろ!ほら、そのうち出て来るから!」

とは言ったものの…おっ!

「夢、アイツなんてどうだ!」

舞台に上がったのは、稲荷。

狐の姿だが、すぐに青い火炎を身に纏い、ヒトの姿へと変化した。

「どうだ?」

夢が横でプルプルと震えている。
やはり狐はダメか…

「マコト…」

ゆっくりと動き出した夢は、右手を握りつつ、親指をピンッと天に突き立てた。

「直球ど真ん中ストライク♪ナイス金髪♪ナイス狐♪」

夢の好みは動物系のようだ…

「名前は?」

飯綱稲荷だよ。

「紹介よろしく♪」

お気に召された様で何よりだ。

試合の方は腕が四本ある異形と戦い、圧勝。
速さが桁違いだった。素早く相手の懐に潜り込むと顎を蹴り上げ、倒れた相手に馬乗りになり、さらに炎の一撃を加えようとしたところで相手がギブアップした。

稲荷はつまらなさそうに舞台を降りていった。

「きゃああ♪カッコいい♪やばい!惚れた♪」

夢のテンションは最高潮に。

その後も試合は行われていき、大和も稲荷も順調に勝ち進み、決勝は案の定、大和対稲荷となった。

「ふふっ♪大和君とマコトには悪いけど、稲荷君には私の愛があるから勝ったも同然よ!」

夢の脳内では、一言も話してない稲荷とすでに相思相愛の関係になっているらしい…

「じゃあ、会いに行くか?その愛する稲荷に。オレも大和の応援に行きたかったし」
「えっ!?いいの!行く行く!」

そういうことでオレ達は選手控え室へと向かった。


控え室と言っても教室を一部屋与えられているだけだ。

「入ってもいいか?」

扉を軽く叩いた。乾いた音が響く。

「ああ、いいよ」

中から大和の声がしたので、扉を開き、入っていった。

「大和!頑張れよ♪」
「ああ」
「稲荷もな!」

部屋の隅で不機嫌そうにしていたが、声をかけると少し笑って、手を上げた。

「後、稲荷に紹介したい奴がいるんだけど…」
「は、始めまして!私、鼎夢と言います。稲荷君のファンになりました!出来ればお近付きの印に、携帯の番号を教えてほしいなぁーなんて…」
「悪いが、携帯持ってない」

スッパリ切り捨てられた夢…さあ、どう出る?


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