久しぶりの恋人Bー加奈子による、わからせセックス-2
「ふふ。家に上げても大丈夫な関係になっちゃったから」
「え」
理央と隼人の声が重なる。
「付き合ってるの、隠し……たかった?」
「あ、いや、そんなわけないじゃないですか……!」
理央が恥ずかしそうに下を向き、ビールを口に含む。
「今日隼人に会うからって相談したの、僕ですよ」
お通しの枝豆をつまみながら、理央が加奈子を向いて言う。
そして、ちらっと隼人を見た。
普段クールな隼人が、理央と目が合うなり、鋭い目付きを細める。
笑いを堪えられなくなって、吹き出していた。
「中村さん、理央が隠したいわけないじゃないですか。中村さんみたいな綺麗な人と付き合えるのに」
「え、あ……武島くん、からかわないでよ」
真面目な加奈子はこれまでこんな風に、男性に容姿を褒められることは多くなかった。
そのせいで顔を赤くして、理央に助けを求めるような視線を向ける。
「隼人、からってないからね。マジで言ってるから腹立つ。素直すぎてホントのことしか言わないんだよ。普段会社の女の子にはそんなこと言わないくせに、僕の彼女になったら身内みたいな感じで扱うのやめてくれる?」
しっしっと何かを払うように、理央は手のひらを隼人の方へ動かした。
普段とは雰囲気の違う二人に、加奈子は思わずクスクスと笑ってしまう。
「武島くんは彼女とかは……」
この話の流れで、加奈子は何となく聞いてみる。
「ええ、同じ会社だったのに、俺がどれくらい遊んでるかは知ってるんじゃ」
「いや、中村さんは僕たちが遊んでるの、知らなかったよ」
理央が庇うようにケラケラ笑いながら言った。
終始和やかなムードで、三人はみち草で三時間ほど、酒と食事と会話を楽しんだのだった。
みち草を出ると、コンビニで酒を買い込み、会社近くの理央の家へ行くことになった。
1DKで、玄関右手には洗濯機、上がって入ると短い廊下があり、左手にはユニットバス。
小さなダイニングキッチンには、右手にキッチン、小さなテーブルが二つの椅子と共に左手側の壁にくっつくように置かれている。
ダイニングキッチンと和室を繋ぐふすま等はない。
隼人のためなのだろう、既に和室には布団が二枚並べられていた。
「お邪魔しちゃって、ごめんなさい…」
「何で?タクシー代も勿体ないし、今日は泊まってって。布団一枚で、僕と寝るから狭くて申し訳ないけど」
隼人と加奈子を椅子に座らせると、グラスをキッチン下の棚から取り出してテーブルに置く。
そして再びビールで乾杯したのだった。
二時間ほどすると、隼人は移動の疲れか、先に寝る、と言う。
ユニットバスで歯を磨き終えたあと、とぼとぼと和室の方に向かう。
みち草に来る前に置いていたのだろう、自分の荷物から寝巻きに使うTシャツ等を出して、加奈子のことを気にせず服を脱ぎ出す。
思わず加奈子はそこに視線を向けてしまった。
理央も四十前という年齢からすれば細いが、隼人はがっしりとしていて筋肉質だ。
ボクサーパンツ姿の隼人にどきん、と思わず胸を高鳴らせる。
隼人は黒のTシャツと、白のハーフパンツに着替えると、すぐさま布団に入ってしまった。
よく泊まりにきていたのか、いつものことなのだろう。