LOOSEU-2
―…やっぱりキスマークは俺が寝ている間につけられたんだ。何のために?
イタズラ心か?
嫉妬心か?
そんなのはどっちでもいいんだ。何にせよナナに誤解されたままなのは気分が悪い。
携帯を手に取り、すっかり見慣れてしまった番号にダイヤルする。しかし、何度かけても留守電だった。
――寝てんのかな…。
いつもは気にならない留守電も今日はやたらと不安に感じた。
発信音の後にメッセージを吹き込む。
『明日、昼に仕事終わるから学校終わったら俺の家に来て。』
電話を切り、一息着いてから今日買ってきた布を広げた。
黒地に金色の刺繍が入ったシルク。俺のイメージとピッタリだ。
下準備はできているから、今から作れば明日の昼にはできるだろう。
あとはナナが明日ちゃんと来てくれれば何とかなる。
そう信じて俺は作業に取り掛かった。
いつの間に眠ったんだろう?
コーヒーの香りがする…
かすかに聞こえるこの音楽はナナの好きな曲だな…
てゆぅか…今、何時だ?
重たい目をあけてみると、デジタル時計は昼の“1:30”に変わったところだった。
…寝たばっかじゃん…ギリギリセーフだな…
ゆっくりと体を起こしてタバコに火をつける。
『…あ、悠起きたの?』
「…ん…はよ…いつきた?」
『おはよ。ついさっき来たばっか。てゆーか鍵あけっぱなしで寝るくせやめなよー。』
「…そか。いつの間にか寝てたから忘れてた。」
昨日の事なんてなかったみたいにナナはいつも通りだった。
…―よかった…
「ナナ…こっち来て」
いつものようにナナを引き寄せて抱きしめる。
『だめっ…悠…っ、タバコあぶな…っ』
「だいじょーぶ。」
灰皿にタバコを押し潰して再びキツく抱きしめる。
『ゆっぅ…』
俺の名前を小さく呟きながら振り向いたナナの顔は切なげで、たまらず唇を塞いだ。
『んっ…!』
熱く舌をからめながら、ナナの服の裾から素早く手を入れホックをはずす。
首筋に舌を這わせながら胸をもみしだくと、ナナの口から甘い声がもれだした。
「ナナ…気持ちイイ?」
『ぅん…っ…あっ…やっ!』
乳首を集中的に責めるとナナの声も高くなる。
「やじゃなぃでしょ?下はどうなってるかなー?」
ジーンズを脱がせてパンツの裾から指を忍ばせると、ソコはもうすでに洪水状態。
くちゅ…っくちゃ…っ
焦らすように入口付近をいじってやるとナナは甘い声で鳴き続ける。
『だめっ…悠っ…もっとぉ…』
「…もっと何?」
ナナがあまりにも可愛く鳴くから少しいじわるくしてしまう俺。
『…もっといっぱいして?』
荒い息をつきながら上目使いで俺を見つめるナナを見るとたまらなくなって、俺は俺の欲望をナナの中にゆっくりと沈めた。
『やっあっ…イィっ…のぉ!』
「はっぁ…っ俺もっ…!」
ナナは優しく、暖かく、そして強く俺を包み込む。
俺はその感覚に酔いしれながら強く強く…何度も何度もナナの中に入っていく。
『悠っ……悠ぅっ』
ナナの俺を呼ぶ声が耳に心地よく響いて、快楽が一層と高まるのを感じる。
「ナナ…俺もぅイきそう…」
『…あたしもっ…一緒にいこぅ??』
ナナがそう言ったのと同時にラストスパートをかける。
パンパンパン…ッ
肉と肉がぶつかる音が激しくなると共にくちゅくちゅという水音も激しくなっていく。
『あっん…だめっ!いっちゃぅっ!ゆぅっ!』
「んっ…!ナナ…俺もイクっ!」
お互いの名前を呼び合ったと同時に、二人で果てた。
キツく抱き合いながら、ナナの胸に顔を埋める。
ナナの鼓動がトクトクと耳に響いて、それはとても俺を安心させてくれた。
そしてゆっくりと目を閉じた。
しばらく沈黙が続いた後、俺は起き上がっていつものようにタバコに火をつけた。
『…ねぇ悠…』
「ん〜…??」
タバコの煙を吐き出しながらナナの方を振り返った。
『………』
俯いているから表情は読み取れないけれど、ナナのいつもと違う様子に胸騒ぎを覚えた。
「…んだよ。何黙ってん…」『…もぅやめょ…?』
俺の言葉が終わらない内にナナは弱々しく、でもまっすぐ意志の通った声で言った。
――ヤメヨウ??
一瞬訳がわからなくなって全てのものが停止したように感じた。