彼女は僕を暴いた-3
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僕が某文の前に立てていたつい立ては、某文が取り去ってしまった。
それから間もなく、僕と某文は赤ちゃんを作ってもいい関係になった。
でも、僕には某文との間に立つつい立てが、まだあるのを感じていた。
僕は某文に伝えてもらったやり方で気持ちよくなって、自分で液を出すことが出来るけど、僕は某文に気持ちよさを感じさせることができない。
チンポコのかたちをした道具を、某文とのエッチに使ってみたけれど「痛いだけだからやめて」なんて言われた。
僕の指や舌が、チツにじんわり触れているだけのほうが気持ちいい、なんて言う。
嘘だと思う。
女のひとは太く長い男のチンポコで、パンパン音をたてるほど激しく子宮口を突かれて、精液を中出しされないとセックスした気持ちよさを感じないんじゃないのか。
僕にそれが出来ないから、僕にできることだけが気持ちいいって自分に言いきかせてるんじゃないのか。
僕に何か寄せられるものを感じたから近づいたけど、セックスの点で大ハズレだったから、やけくそで赤ちゃんを作っておこうとしたんだろ。
○
つい立ての向こうで受精の作業をした某文は、無事孕んだ。
そして、出産の日を迎えた。
出産は例のクリニックの一室で行われたけど、そこについ立てはなく、僕は某文のそばで出産に立ち合った。
柔痛分娩……ベッドの上で、ゴツいガタイの女性の助手が、某文を背後からワザをかけるように抱きかかえている。
それでツボを押さえて、痛みを「柔らげる」んだそうだ。
そのせいか某文は赤ちゃんの声を聞いたあと「やったぜ、女の子だー!」と叫びながら笑顔を見せていた。
速攻で抱っこした「某文の赤ちゃん」……ヤバい。
僕は赤ちゃんのどこかに、精液を仕込んだ他の男の特徴があるんじゃないかと思って覚悟していた。
でも……まだ生後間もないクチャクチャした姿なのに、僕のガキのころのふんいきを持って産まれてきたんだ。
……日が経つにつれて、その僕の特徴が一段とあらわになってきた。
「……某浩。」赤ちゃんを抱いていた某文が、僕を呼んだ。「この子がそこそこ大きくなったら、二人めいこうよ。」
「え?」僕は驚いた。某文は何でまだ僕との既成事実 を作ろうとしてるんだろうか……
某文は赤ちゃんを僕に見せつけて言った。
「私に似てる方の子もほしいからな。」
【おしまい】