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つい立ての向こうに
【若奥さん 官能小説】

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彼女は僕を暴いた-1


    ○

 マタニティークリニックの一室。
 ソファーにひとり座る僕の前を、大きなつい立てがふさいでいる。
 室の中にはバロック音楽が響いている。

 いま、このつい立ての向こうで僕を好きになってくれた妻の某文が、子宮に僕の精液を注入して受精しようとしている。
 つい立てとバロック音楽の響きとで、この向こうで何が始まっているのかうかがうことができない。
 だけど、僕の目の奥にはその向こうにいる某文が全裸で、たくましい男に抱かれている光景が見えてくるんだ。
 男はまず、僕の精液を詰めこんだ「授(さず)けの玉」を某文のチツにはめこむ。
 そして堂々と勃起したチンポコをチツに当て、一気にチツの奥へ押し入れる。

 某文は口に猿ぐつわをつけられている。
 男のチンポコを受けると目を閉じて首をそらし、僕で得られないセックスの強さを身体いっぱいに感じている。

 猿ぐつわとバロック音楽が、某文のあえぎ声を隠している。
 某文は初めて知ったセックスの気持ちよさに、両手を伸ばして空中をさぐる。男はその手を握って、自分の背中に導く。

 男の腰が動く。某文に押しこまれた授けの玉を砕いて、中からあふれる僕の精液を某文の子宮に届ける。
 その精液を届ける勢いをつけるために、男もまたチンポコから精液を噴出させるのだ。

 僕は自分がいるのが公的な場所だというのも忘れ、下着の中に手を差しこんで股間を刺激し始めていた。
 ついさっき、僕はクリニックの看護師に指示されて某文に届ける精液を放っていた。
 だけどその量を上回る精液を手のひらに放ったとき、僕はふと思い出すことがあった。

 「柔痛分娩の研究者」として知られる、このクリニックの女性医師からどんな器具を用いて受精させるかを某文と一緒に聞いていたんだ。
 だけど僕は、ろくにそれが耳にはいってこなかった。

 (なんでなの……なんで僕には、某文を自分だけのチカラで孕ませる能力が与えられなかったの……!)
 そんな思いがずっと、アタマの中をぐるぐるめぐっていたから。


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