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午前零時のイブ
【ファンタジー 官能小説】

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午前零時のイブ-7

「面白い女だ。なぜそんな格好でいる。『愚か者には見えないドレス』だとでもいうのか、それとも病院に連れて行ってやらねばならないのか」
「何をおっしゃっているのです。私の格好がそんなにおかしいですか」
「みんな着飾っているのに、どうしてお前だけ裸でいる」
「それは」その時初めてイブは自分の姿を見ました。黄金に輝くドレスなんかありません、ただのシュミーズでした。
恥ずかしくて死にたくなります。でも今更どうしようもありませんでした。
魔法使いが言ったように、≪自信を持てば道が開ける≫ それを信じようとしても、ドレスを着ていないということは、どう信じようと、裸ということでした。
でも王子様の問いかけに黙っているわけにもいきません。
「私は王子様の前で着飾った姿を見せられません。その虚飾の中にどれだけの凶器と陰謀を隠せるとお思いになりますか」
「なるほど。ではお前は裸を見せて私を誘惑しようと言うのだな」
「わたくしは裸を見せたいのでもありません。王子様を前に、何も隠すことがないということでございます」
「では、その薄い布も脱いでしまえばかよかろう」
「それは。  肌はだれにでも見せてよいものではございません。それが礼節であり、夫たる方への忠節でございます。ただ王子様がそうお命じになるなら」 シュミーズを脱ごうとします。
「わかった。今は脱がなくていいぞ。面白い人だ、こっちへ来い」玉座の近くに呼び寄せます。
「見てみろ」手を広げ周りを指し示します。 「皆が同じように着飾り、同じように宝石をつけ、同じように踊り、同じようにゴシップを話す。それがいかに退屈か分かってもいない。私は飽きた。 だがあなたはどうだ。私を楽しませてくれる。それにいい香りだ。はじめて嗅ぐ香水だ。なんだこれは」
「なにもつけておりません。これは先ほどまで家事をしておりました、労働のにおいでございます」恥ずかしくて逃げようとします。
王子はその手をとらえ、引き戻しました。
「どうかこれ以上辱めないでくださいませ。どうかお離しください」
「そう言わず、しばらく城で過ごしてみないか」
「どうせ明日までのたわむれでございましょう」
「違う。あれは、女たちが夢ばかりを追う俗物だからだ」
「王子という名前に男の理想を求めるのだから、仕方ございません。私もまた、王子様があらわれて、わたくしを救い出してくださると思っておりました。でも、それは今までただの夢でした」
「あなたのような人は初めてだ。もっともっと見てみたい」
その言葉にホールがざわめきます。その中から人々を押し退け、継母が前に出てきました。
「お待ちください王子、その子は私の家にいる『ただ飯食い』でございます。毎日炊事場で働いている『灰かぶり』でございます。そんな者を城に入れては、お城がけがれてしまいます」
大姉を前に突き出すと、「これが本当の私の娘でございます」サリのドレスの紐を切り、脱がせます。コルセットまではずそうとします。
「これだけはいや」大姉が叫び声を上げて押さえます。
それでも母親はコルセットを取り上げてしまいました。
「ひいい」大姉は豊満な乳房よりも、ウエストを隠そうと手を回しますが、隠せるものではありません。それでも体型の維持に専念していたのです、コルセットで締め上げていなくてもそれなりにいいスタイルをしていました。
その美しい姿に皆が見とれました。
側近の一人が気をきかせて挨拶にくると、「どちらの姫様でしょうか」
王子の元へ連れて行きます。
王子は面白そうに、「おまえは、それも脱げるか」


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