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午前零時のイブ
【ファンタジー 官能小説】

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午前零時のイブ-11

「で、これは何」捨てたはずのものをナミが振りました。
「あっ、それはボツ原稿」
「へえ」 読みはじめます。


次の日、イブはひとり町を歩いていました。
「あの子もやっぱり捨てられたのね」遠巻きに町のみんながうわさをします。
「いいきみだわ」さげすみと、憐れみの目で見送りました。
あの乞食があらわれます。「王子様がよかったんじゃないのかい」
「あのあとで、王子は私を抱いたわ」
――― 王子様といえど、ものは街の男たちと変わりません。そして無理やり入れてきたのです。
「痛い」というと、「それがいいんだよ」といいます。
「教えて欲しいと言ったじゃないですか」
「お前の経験を聞いただけだ。そしたら私の方が多いじゃないか」
「私にさせてみては いただけませんか」
「王とは従わせるものなのだ。私のやり方に従うんだ」
そして自分だけイッてしまいます。
横に離れると「どうだ、よかっただろう」
答えられません。
「どうした、なぜ黙っている。今までの女はみな、良かったと喜んでおったぞ。私ほどの技巧を持った者はいないと擦り寄ってきたぞ」
「そうでしょうね。お願いです王子、もういちど抱いてください」私はまだ満たされていませんでした。
「お前も私に魅了されているのだな。かわいいやつめ」王子は私を抱きました。「栄誉に思え、二度も抱くなど初めての事なのだからな」
「王子、わたくしの技もお見せしてよろしいですか」
「なんだと、私のでは満足できないというのか」それはただ棒を抜き差しされているのと同じでした。
そしてそんなものでも気持ちよくなってきた自分にびっくりしました。
≪まさか≫ それが、気持ちいいのです。≪まさか、嘘よ≫
笑いがこみ上げてきました。 ≪こんな木の棒みたいなのが、みんなの求めてきたものだというの≫
発作のように、そして気が狂ったように大声で笑い始めました。―――

「ああ、私ほど不幸な者はいないわ。 王子であるよりは、人としてましかと思ったのに、あの方は、上に乗ることが征服だと思い、不満のうなりを賞賛だと思っているの。
ひどいお子ちゃまだったのよ。だから出て来ちゃったわ」
町に『イブを探し、丁重に城へお連れすること』おふれが出ます。
「帰るなんてまっぴらだわ。
男をひとりも知らない昔なら、あんなものだと満足していたかもしれない。
みんなが、あの王子がいいというから、私もそうなんだと思いこんでいた。
でも今は無理なの。私は本当に愛せるだけのものを持った相手を見つけたいのよ。それが自分だという人がいるなら、だれでもいい証明しに来てちょうだい、私が確かめてあげる」
「おまえはどんな抱かれ方をしたいのだい」ささやきます。
「その時、全部お教えしますわ」
イブは本当の王子様をもとめて、毎夜、新たな男をためしながら、
末永く幸せを探しました。 とさ  


作 レナ   本当の終わり


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