イブ-9
カリスは笑いながら「私ってそれが大好きよ」一緒に出て行きかけて、「あ、それからもうちょっとましなドレスを買っておきなさいね」
「ましってなんですか」
「娼婦のようなやつよ」 笑いながら出て行きました。「でもまあ、そんな乳臭いやつもいいかもね、ジョイ好みでしょ」
私は男のもので体を濡らしたまま、それを見送っていました。
メイドが来て、私の部屋着を放り投げて行きました。 「今後は食事も台所でしていただけますか。お姉さまの言いつけです」
そんなの嫌よ、と言ったら、食べさせてもらえなくなりそうです。
仕方なく朝食は料理人の作る横で一人食事をとりました。これで立派な使用人の出来上がりです。本当にただの使用人ならどれほどよかったでしょうか。
そのあと。兄から呼び出されました。服を着替えて行きます。
「どうしたんだ、なぜ食事に来なかった」
「それは」言っていいのかどうか躊躇してしまいました。
「どこか体の加減が悪いのか」
「いいえ、そんなことはありません」
「ではなぜ来ない。 なるほど妹だな、来るなと言われたのか」
私は黙っていましたが、兄はその表情を読みます。
兄がソファの前に座らせました。
「お前にはつらい思いをさせているようだが、これもみんな家のためなんだよ。この家に力が戻ってきたらお前にもいい思いをさせてやる。お前はそのための我々の武器なんだ」
手を握ります。手袋をした手でした。
「お前は情婦なんかじゃない。戦士だ。その体を使って、もっともっと男どもを垂らし込んで、骨抜きにするんだ」頬をなで、唇に触れます。
「お前の言うことを何でも聞くように相手を調教してやれ。私とやりたかったら、私の言うことを聞けと、思い知らせてやれ」端正な顔で見つめます。
「だからきちんと食卓で食べるんだ。我が家の名を名乗るものが、そんなゴキブリのような真似をするんじゃない」
「はい」そういうしかありませんでした。
「ただし、私とは同席はしなくて‥」
「娼婦だからでしょう‥」思わず口走ってしまいました。
「私の話をさえぎるな」口をつかまれます。 「娼婦だと? 今戦士だと教えてやったところではないか、いやなら悪魔の餌食にしてやる。そして悪魔のような信者たちに毎晩回されるがいい。これでも兄としていい選択をしてやってるのだぞ」 手袋を手荒く脱いで床にたたきつけます。
どう言っていいのかわかりません。
どれも許容したくないものばかりでした。「お兄様のために何でもやってきました」
「あたりまえだ。おまえがその体をもって仕えるからこそ、私も気にかけてやってるのだ。
おまえも優しく女にしてもらえてよかっただろう」
「でも最後は私をしばりつけるような男のところへ嫁がせるつもりなんでしょう」
「何を言ってる。そんなところへ行かせたりしない」
「でも」
「馬鹿なやつだ。妹にからかわれたな」
もう兄の言葉がわからなくなりました。
「では、どうだったのか、報告をしなさい」兄は冷たく私を見ます。
また、最初からでした。
「あの方はこういう風にさわってきました」 仕方なく手を取って胸に乗せます。
兄はその手を払いました。「私に汚いものを触らせるな」
陰から男が出てきて、タオルと新しい手袋を渡しました。 ―――――