投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

イブ
【ファンタジー 官能小説】

イブの最初へ イブ 10 イブ 12 イブの最後へ

イブ-10

あたしは頭を離します。ちょっと参りました。
≪だめ、あたしにできる程度を越えてる≫ それからアッチの目を思い出します。 ≪これでは、『あなたの友達への思いとは、そんなものなのですね』って笑われる≫
あたしの時は、でも、あたしなら、悪魔教団に襲われたことを、かわいそうに なんて言われたら殴りかかっていたでしょう。そんな薄っぺらな言葉はいりません。
「あんたは道具でいたいの、お嬢様でいたいの、それとも人でいたいの。決めなさい」
あたしの顔を見上げます。何を言っているのか理解できていないようです。
「あんたは、あいつらが利用できないまでに汚れることができる? すべてを失うことができる」
ただ目を丸くしてこっちを見ています。それから、「あなたもリドル卿やカリスと同じなのね」
「そんなのと一緒にしないで」
「じゃああなたは、私を使って何がしたいの」
「そんな風にしか考えられないの」
「それが現実じゃない。家のために、楽しみのために、あなたは何のためなの」
「友達じゃダメなの」
「あなたは友達なんかじゃない」
「その通りよ。まだ友達なんかじゃない。あんたがそこを抜け出してくれないと、友達になんかなれない」
「これでもまだ汚れ足りないって言うの、あなた私の何を知ってると言うの」
「全部知ってる。体を使って汚いことをさせられてることも。でもあんたがしたがっていたことじゃない、あんたの責任じゃないってことも。だけど、そこに居続けるのはあんたの責任だよ」
「それであなたに何が出来るというの」
「あんたの家をつぶす」
「本気で言ってるの、私を路頭に迷わそうとしているの」
「それぐらいが何。どうせ今のあなたに帰るところがあるの?」
イブはしゃがみ込むと、急に笑い出しました。
それから、ぽつんと、「夢よ。できるわけがない」下を向いたままでした。
「ねえ」声をかけても反応がありません。
「まっててね。できるだけ早くする」 そう言って別れました。 
≪信用してくれただろうか。一週間を越えたらどうしようか≫ 悩んでも始まらないこともあります。
家に帰るとアッチを探しました。
「ごめんなさい、あの家のことアッチが言いたかったのかもしれないけど、今からカラザに電話する」
「そうなの、上手くやりなさいね」 多くを聞きません。信用してくれてる気がします。
電話をしました。
「カラザさん? レナです。私の家で火事のあったころの、周りの病院での死亡者を探してみてください。私くらいの年齢の身元不明者」 
「なぜだね」
「夢を見たんです。病院関係者がかかわっていました」
「夢のお告げか。そんなものにさく時間はないね」 一方的に切られてしまいました。
「夢を見た、ですって」 横にいたナミが大口を開けます。「何を言うにしても、なんて理由」大笑いします。
その口にこぶしを突っ込んでやりたくなります。
「大丈夫ですよ、あの人はそう見えるよりは優しい人です」アッチの言葉に救われました。
あんなことを言っていても、カラザはその可能性を調べてくれていました。そして家宅捜査が行われました。


イブの最初へ イブ 10 イブ 12 イブの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前