『縄母・志摩子(M512)の刺青』-8
(4)
突然、地獄に突き落とされたようなものでした。
母親失格の烙印を押されたのです。愛してやまない一人息子の悠一に言い訳の一つも口に出来ない、母親の秘密と狂態を見られてしまったのです。
それから一週間、悠一は口を利いてもくれませんでした。
七日目の夜、悠一が幽霊のような顔をして私の寝室に押し入って来たんです。その手に縄の束を持っていました。
「ゆ、悠一っ……ど、どうしたの?」
「ママ……僕だって……亮くんみたいに、ママを哭かせたいんだ」
悠一は震えるような声で、間違いなくそう言ったんです。
「ば、馬鹿なこと言っちゃダメッ……悠一とママは……ああっ」
「母子だって、言いたいんだろ。そんなの、どうだっていいじゃないか……」
ベッドの上の私に飛びかかるようにして抱きついてきました。
「ダメよっ、悠一っ」
「ママが好きなんだから。大好きなんだっ。あの時のエッチなママのことが、どうしても忘れられないんだ……それと、亮くんが僕に命令するんだよ。ママを縛り上げたヌード写真を撮ってこいって」
「えっ……亮くんが?」
七日前のようなことがあって、私はさすがに亮くんを許せなくて、来訪を拒んでいたんです。息子の悠一に知られてしまった以上、これまでのような関係を引きずる訳にはいきません。何があろうとも、もう二度と肌を許さないと心に固く決めていたんです。
「そうだよ。亮くんはママに腹を立てているんだ。僕のことをみんなでイジメにかかってるんだ。ほら、これを見てよ」
悠一はパジャマの上着を脱いで、身体中に残っている青痣を見せてきたのです。
「な、なんて卑劣なの、亮くんて人は……」
私の身体から抗う気力もタブーを畏れる気持ちもすうっと抜けていったんです。
愛する一人息子の悠一から縄を打たれるなんて、恐ろしくてならなかったのですが……悠一は緊縛の仕方をネットで調べた通りに縄を捌いて、パジャマも下着も剥ぎ取られた私の裸身をがっしりと拘束していたんです。
両腕は頭の後ろに組んで縛られ、脚はそれぞれ二つ折りにされて、左右に引き裂かれて大股開きにされていたんです。
女体の秘密をすべて曝け出す、カエルがひっくり返ったような格好です。
「綺麗だよ、ママ……ママがこんな凄い刺青を入れてるなんて、僕はずっと知らなかった……昔は一緒にお風呂にも入っていたはずなのに」
悠一の食い入るような熱い視線が刺青の彫られているデルタゾーンや太腿を這い回っているんです。
「ああっ。悠一っ……そんなに見詰めないでっ」
私は心の底から自分の性を呪わしいと思わずにおれませんでした。息子が相手にもかかわらず、ベッドの上で縄目を掛けられた身体が微妙な反応をしていたんです。
「ママはもう抵抗することは不可能だし……僕はココに挿れることだって出来るよね」
悠一は恐ろしいことを言いながら、蜜汁の溢れ出ている割れ目を舐め回してくるんです。
「ああっ。そ、それだけはしないって約束よ」
「……亮くんとはしてたくせに。僕はどうしてダメなの?」
「ゆ、悠一はママが産んだ子供だからよ……お願い。他のことなら何をしてもいいわ。ああっ。でも、ママに目隠しをして頂戴っ」
私は悠一の目を見ることが耐えられなかったんです。別れた夫に似たケダモノのような目に変わっていたからです。
悠一は私の顔面を縄で縛って、目隠しをしたんです。縄に溺れやすい私の身体のことを知っていて、縄を使ったのです。
相手は息子です。私は石のように身体を固くしていようと思っていました。