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「短編集『O嬢の館』の女たち」
【SM 官能小説】

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『縄母・志摩子(M512)の刺青』-1

(1)
 私の一人息子は飯野悠一と言います。心根は優しいのですが、出来の悪い子です。幼い頃からウスノロと言われていました。でも、出来の悪い子だから一層可愛いんです。

 十年も前に二人きりの母子家庭になりました。飲んだくれのヤクザな夫と離婚して、一人で幼い悠一を育ててきました。私はデパートの化粧品メーカーの直営ショップでメークの主任として働いています。女性をキラキラした美しい貌に変貌させるプロです。

 悠一を私立の高校に入学させて半年が過ぎた頃から、友達が2DKのアパートに時折訪ねて来るようになっていました。それまで友達なんて一人もいなかった悠一にそんな友達が出来て、私はホッと一安心していたのです。

 山口亮という男の子でした。ご両親が原宿の大きなビルのオーナーということで、かなり裕福な家の子です。

「りょ、亮くんっ……何なの?」
 水曜日の夕方でした。私は水曜日だけが非番で、家にいたのです。悠一は部活で6時過ぎにならないと戻って来ないのに、待たせてもらうと言って家に上がり込んだ亮くんが私のスカートを捲り上げたんです。

「おばさんって、歳の割りに色っぽいんだよな……」
 リュックから縄の束を何本も取り出して、突然、私の顔にぶつけてきたんです。
「な、何をする気?」
 私は顔を引き攣らせて、怒りました。悠一にようやく出来た友達です。怒りをぶつけたものの、すぐに家から叩き出すことまでは出来なかったのです。

「……おばさんって、もしかしてドMじゃないかって思うんだけど」
 亮くんは私をまるで獲物を見るような目で見詰めてくるんです。

 別れた夫が独占欲の強い、凄いサディストだったのです。私の身体にマゾの刻印を刻み込んだ男です。

そんなことはすっかり忘れていたはずなのに、縄の束を顔にぶつけられた私の身体がキュンッと変な音を鳴らして痺れていたのは確かです。

「馬鹿なこと、言わないでっ」
私はひどく困惑したまま、身体を硬直させていたんです。
「ははーん、やっぱりね……おばさん、ドMじゃん」
亮くんは私の両手を掴んで、背中に回してきました。
「おばさん、言っておくけどさ……俺のご機嫌を損ねると、悠一が学校でイジメられるようになっても知らないからね」
 亮くんはそんな脅しをかけてきたんです。出来の悪い悠一が学校でイジメに遭うことが私の最も心配していることなんです。

「お願い……亮くん、こんな非道いこと、しないで……」
 縄を使って、亮くんは私の身体をグルグル巻きにしてきました。

「俺さあ、最初に見た瞬間にさ、おばさんがドMだって感じてたんだ。だからさ、あんな木偶の坊を子分にしてやってんだよ」
 息子の悠一のことを木偶の坊の子分だって言うんです。亮くんは悠一を庇護してくれている親分ということでしょうか。

 スカートを捲り上げられ、パンストとショーツを剥ぎ取られ、ソファの上で両脚を大きく広げた格好に縛られたのです。
「お、おばさん、凄いじゃん。これって本物の刺青だよな?」

 私のデルタゾーンと右の太腿の肌には、十代の頃に別れた夫から入れられた牡丹と蛇の刺青が残っているんです。普段は黒のパンストで隠している、消すに消せない刻印です。悠一にも知られていない絶対の秘密です。

 三匹の大蛇が私の蜜の穴に向かって長い舌を伸ばしている構図の刺青です。それを息子の友達に見られてしまったんです。


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