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青蛙亭のゲール
【ファンタジー 官能小説】

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お客さん来ませんね-3

目は泣いて充血しているけれど、きれいな瞳の色は髪の色と同じでめずらしい。目玉はやはり、ふたつしかないから、最後までとっておくか。
エレンの生き血を飲んだのと、どこから喰うか考えているうちに、ゲールの股間のぺニスは屹立していた。

「ねぇ、君、名前は?」
「……エレン」

そう答えた唇にゲールの唇が重ねられて舌先が押し込まれた。エレンは、濃厚なキスをまだしたことがなかった。
唇を重ねて目を閉じたゲールの舌先がエレンの舌先をとらえて、ねっとりと絡みついた。

「ん……むぐっ、んんっ……ふぁっ……」

エレンの舌先とゲールの舌先が離れたとき、白いきらきらとした細い唾液の糸がすぅっとのびていた。
エレンは身体がもう寒気ではなく、頬と同じように火照っているのがわかった。もう1度、キスをしてほしいと思った。ゲールはうっとりとした表情のエレンの顔を見つめて、ため息をついた。
生き残った、喰いそびれた。
しかし、ゲールは殺して喰うのは自分の流儀に反すると思う。
たとえばナイフで心臓を突き刺し、ナイフを引き抜いて傷口から、あふれてくる血を啜っているうちにエレンが生き絶えて、柔らかいうちにかぶりつくこともできる。
しかし、それをしたらグール化した野犬と変わらない。
そんな下品なことは絶対にできない。ゲールにとって許されざることであった。

エレンが腕をのばしてゲールを抱き寄せて、唇を重ねた。今度はエレンから舌先を入れて、真似をして絡みつかせた。

(エレンだっけ、しかたない。この子を喰うのはあきらめるしかないか)

エレンは、青蛙亭の主人のゲールが、あまり商売に熱心ではないのは、本当に飢えきったら人を襲って食べればいいと思っているからではないかと疑っている。

(そうなったら、私、ゲールさんに食べてもらおうかな。他の女の人を、興奮して食べてるゲールさんなんて見たくないから)

青蛙亭の主人ゲールは、神聖教団からは目の敵にされている。彼はグール化した魔獣専門のグールハンターである。
そして、彼は蛇神の異界の扉が開いた影響で覚醒した純粋なグールだった。
死んだら新鮮なうちに喰ってしまおうと拾ってきたハンターの少女エレンは、吸血されているうちに魔族の眷属グーラーになって生き延びた。
グールは特に心臓を喰うことで性的興奮を得る習性があるが、その眷属である牝のグールであるグーラーは、男性の精液を飲む習性がある。サキュバスに似ているが異性を魅了するミルクや暗示の力をグーラーはもたない。

グールやグーラーは神聖教団からは、アンデットモンスターだと思われている。呪術によって遺体を強制的に蘇生させようとすると、グールやグーラーができあがる。清めの水をかけて祓いの祈りを捧げれば解呪されて遺体に戻ると信じられている。
ダンジョンで生成された魔獣によってグール化させられた動物は、傷口は開いたまま、腐敗していても平気へっちゃらだが、それは痛覚が失われていて、さらに自己回復力を失っているからである。

蛇神の異界の影響で覚醒したグールは、痛覚もあり、まじわって膣の隘路でぺニスを締めつけられたり扱かれたら快感はあるし、射精感もある。
人の生き血を飲むと回復力が増加して、軽い切り傷など、すぐに傷痕も残らず修復される。グーラーは、生き血ではなく男性の精液で回復力が増加するが、大好物はグールの精液である。
グールが心臓を喰ったり、ゲールの場合は心臓より目玉を喰うのが大好物だが、グーラーは、人間の男性の精液より、グールの精液にうっとりするぐらい興奮したり、快感を感じるのだとエレンと同棲していてわかった。
エレンはゲールの精液を飲むと酒を飲んだみたいに酔っぱらう。酒癖ではなく、ゲールの精液癖があまりよろしくない。

「ふふっ、ゲールさ〜ん、ほんとーは私のこと好きなんれしょ?」

甘えてしつこく抱きついて押し倒そうとしてきたり、ゲールは体中を舐めまわされたりするのだが、エレンは翌朝にはすっかり忘れている。

「もし、今月、お給料がもらえなかったら、その分、ゲールさんの体できっちり払ってくださいね」
「お客さん、来ないかなぁ」

ゲールはそうつぶやいて、テーブルの上に置かれた蛇神祭祀書を手に取り読み始めた。
ガラス窓に雨粒が当たる音がした。

「あっ、雨ですよ」

ゲールは天気の変化でもうれしそうに話しかけてくる、この同棲中の少女に不思議さを感じている。

(雨が降ってきたぐらいで、エレンは何がうれしいんだろう?)

蛇神祭祀書は、蛇神ナーガを信仰する神官によって作り出された魔導書である。蛇神の贄の巫女の心臓を儀式用のナイフで体内から取り出し、祈りを捧げてから信者たちに切り分けて与える儀式についての記述を目を閉じて、紙の表面を指先でゲールは撫でていく。
指でなぞると頭の中にその光景が浮かんでくるのである。

(精液癖の悪いグーラーをほろ酔いぐらいでおとなしくさせる方法ないかな?)

自分がグールと呼ばれる魔族であり、どうやら、伴侶になるグーラーを作り出す儀式を知らないうちに実践して成功してしまったらしいことを、ゲールは蛇神祭祀書に教えられた。
エレンの酔っぱらった時の対処方法については、蛇神祭祀書は何も教えてくれる気はないようだった。

(質問が悪かったのかな。う〜ん、なんでグーラーは、グールの精液で酔っぱらうか教えてくれ)

【人間の女性と同じ。性癖です。】
「青臭い匂いが好き」「暖かくて粘り気があって、塗り広げるのが好きだから、顔や体にかけられたい」「他にはない不思議な味が好きで、飲むとアソコが熱くなって濡れる」「飲むとよろこんでくれるから」「味や喉ごしは悪い」「咥えている時に口内に射精されたら、飲むものと思っている」「男性が自分に興奮してくれて、射精している姿に興奮する」
「相手の全てを取り込みたい、そんな独占欲に近い欲情から」


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