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青蛙亭のゲール
【ファンタジー 官能小説】

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お客さん来ませんね-4

蛇神祭祀書からゲールは顔を上げて、あくびをしているエレンの顔を見つめた。

「ん、ゲールさん、どうしました?」
「なんでもないよ、エレン」

再び蛇神祭祀書を読み取るふりをして、ゲールは考え込んでいた。

(エレンは、僕のことを喰いたいと思っているのに気づいてないってことか?)

エレンが精液を飲むと大胆に甘えてくる理由はわからないが、どうやら、ゲールのことを射精させてよろこばせたいと思っているらしいことや、ゲールがエレンの生き血を奪うときにらエレンを気持ちよくさせたいと思っているのと似ているらしいことはわかった。そして、ゲールがエレンを喰ってしまいたい、全部自分のものにしたいという思いで、興奮しているらしいことも、なんとなくだがわかってきた。

グールのゲールとグーラーのエレンは、王都の後宮で愛妾の生き血を触手で奪っているヴァンパイアのヴァルハザードどうやらちがうようだ。
ヴァンパイアのヴァルハザードは、贄から食事として血を飲んでいるぐらいの考えで、相手に恋する思い入れはない。

「エレン、もしも僕以外に君の血を吸うやつがいたら、吸われてみたい?」

エレンはいきなり吸血に対しての質問をされて、少し考えてから、恥ずかしそうにゲールに答えた。

「ゲールさん以外には、あの、私、吸われたくないです」
「あ、うん。僕よりも血を吸われたら、すごく気持ちよかったとしても?」

蛇神祭祀書はゲールに、ヴァンパイアという魔族がいてグールと同じように血を吸うことで快感を与えることを教えた。だからゲールは気になって、エレンに質問してみたのである。

「喉をがぶってされてるとき、ゲールさんの中に私の血が入って、ゲールさんの体は私の血が行き渡って、私からできあがってるんだって、思うときがありますよ。変かもしれないですけど、私がゲールさんの中に入って私と一緒になってるところがあるんだろうな〜って。他の人と一緒になりたいとは思いません」
「あ……うん、ありがとう」

ゲールは精液がエレンに飲みこまれて、エレンの体はどのくらいかはわからないが、自分の精液が使われて作られてるんだと思ったら、エレンのことが自分のものなような気持ちになった。ゲールに血を吸わせてくれているときに、自分の体も、ゆっくりとエレンのものにされていっていたんだなと思った。

「ゲールさん、もしかして、暇すぎて、私の血が吸いたくなっちゃったとか?」
「ちがう。エレンを喰ってしまいたいと思うときはあるけどね。でも、エレンを僕が喰ってしまったら、こんなふうに話せなくなるのは、ちょっとさみしいよ」

すると、エレンが微笑しているゲールに真顔で言った

「ゲールさん、もしも、誰かを食べたいって思ったら、私を最初に食べちゃって下さい。そうしたら、私は、ゲールさんが、その、他の女の人を食べたりしてるのを見ないですむでしょ?」

ゲールは、エレンになら食べられて、ひとつの命になってもいいなと思った。



〜END


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