阪井泰斗/二度目のマッサージ-3
「んー、じゃあ三時間で」
と冴子がフロントの女性に伝え、財布を出そうとする。
泰斗は慌てて、冴子を制して自ら財布を出した。
「さすがに、飯塚様が払うのはまずいです……」
「ふふ、じゃあ甘えちゃお」
鍵を冴子が受け取り、エレベーターで部屋のある階まで昇る。
慣れた様子で部屋まで歩き、泰斗は部屋へ誘導された。
おどおどする泰斗に対し、冴子は部屋に着くなりコートを脱いで、壁にかかっているハンガーにかける。
相当利用していることがわかった。
「慣れて…ますね…」
大きなダブルベッドがあり、ひとりが掛けのソファが二つと、そのソファーの間にはテーブルが置いてある。
テーブルには今どき珍しく、灰皿が置いてあった。
「ふふ。ここあたし、最寄りなんだけど。結構この辺りで適当にナンパしちゃうから、ここよく使うの。安いし」
(ナンパ…なんて。かなり遊んでるってことか)
「早速施術してもらってもいい?」
「あ……はい……」
「いつもはお店のキャミソールだけど……汚しちゃまずいから全部脱いだらいいのかな?」
立ち尽くす泰斗の前で、冴子は備え付けのスリッパに履き替えると、何の躊躇もなく白いニットを脱ぐ。
黒のタンクトップから覗く、ふわふわとした胸。
その下には深紅の下着を身につけているようだ。
冴子は黒のロングスカートに手をかけると、横についているジッパーを下ろし、スカートを脱いだ。
その光景に、ごくり、と泰斗は生唾を飲み込む。
というのも、深紅の下着をつけているであろうことは容易に想像できたが、臀部の辺りがくり抜かれた、パンティ部レスタイプの黒いストッキングを身につけていたからだ。
もう、その光景だけで勃起してしまいそうだった。
泰斗は邪念を振り払い、ソファーの上に荷物を置いて、テーブルの上にオイルなどを出していく。
「バスタオル、マッサージ用に持ってきたので……これ使ってください」
するすると服を脱いでいく冴子の方を見ないように、自宅から持ってきた黒地のタオルを手渡す。
「ありがと」
タンクトップを脱いでいて、冴子は下着と、ストッキングのみを身につけていた。
見ないように、と思いつつも自らのコートとジャケットを脱ぎながら、ちらちらと見てしまう。
(う、わ……)
ストッキングの上から身につけている真っ赤なショーツを冴子はするすると脱ぐ。
ブラジャーに、ストッキングだけを身につけているその体は圧巻だった。
全て服を脱ぎ終わり、冴子はバスタオルを巻いている状態になると、手についているシュシュで、髪の毛を高めに結ぶ。
うなじから、肩にかけてのラインがとてもセクシーだ。
「うつ伏せになればいいかな?」
「あ、はい」
冴子は何食わぬ顔で、掛け布団を剥がして、ベッドに寝転がる。
枕の上辺りの、内線電話が置いてある辺りには冴子が持ってきたであろうスキンがいくつか置いてある。
それに気づいて、泰斗は動揺した。
スキンの辺りにオイルの入ったボトルを置いたが、その手は震えていた。