「背徳と退廃・花嫁Mの手記」-43
(11)
「三個のピアスを嵌められて、花嫁は満足かい?」
お義父さまは意味ありげな笑みを浮かべながら、背後から問いかけてこられました。
わたくしは黒のガーターストッキングを穿いただけの裸身を鏡に映して、ピンクゴールドの妖しい輝きを放っている三つのリングをうっとりと眺めていたんです。
お義父さまの所有物であるという刻印を入れて頂いた、雪のように真っ白な女体です。
「は、はい。幸せです……お義父さまに可愛がって頂けるラブドールですもの」
プリプリとしたお尻を娼婦のように猥らにクネらせていました。もっとお義父さまをわたくしの美身の虜にしたくて、はしたないポーズを取ったり、淫らな恥戯を晒したい気分だったのです。
ラブドールの身体を、この鏡の前で無茶苦茶に犯して狂わせてっ……。
そう身体が願っていたのです。
「美優の一番気に入りそうなリングが、もう一個残ってるんだが……」
お義父さまは意外なことをおっしゃったのです。
「え?」
お義父さまとのお約束は三個のリングだったのです。
「美優の美しすぎる顔がいけない……その気品のある美貌を、美優は壊されたいんじゃなかったのかい?」
お義父さまはわたくしの心の内に潜んでいる歪んだ願望をすべてご存知なのです。
「お義父さまっ……そ、それって……」
鏡に映る自分の美貌に改めて見入っていました。透き通ったガラスのような灰色の瞳をしたお人形さんのような貌です。
「美優はわたし専用のラブドールだが、これからは我が家で飼ってやる家畜でもあるんだからな」
「ああっ、お義父さまの家畜?……それって……鼻ピアスのことでしょうか?」
背筋にゾクゾクするような戦慄と愉悦が走り抜けていました。
「セプタムと言うそうだが、美優にはよく似合うだろうな」
ツンと小生意気に尖った鼻です。その左右の鼻孔を隔てている隔壁に小さな孔が開けられていくのを、わたくしは鏡に映してじっと見詰めていました。
ツーンとする痺れるような痛みがありましたが、ピンクゴールドのかなり大きな鼻輪が鼻孔から垂れ下がっている貌を見ると、涙が止まらなくなっていたんです。
お義父さまがこんな素晴らしいプレゼントを用意して下さっていたなんて……感極まっていたのです。
(あああっ。わたし、醜い家畜の貌になってるっ……)
鼻輪は単純なリングではなく、上口唇に触れるあたりに装飾的な小さな紋章まで付いていました。美しい妖精が羽根を広げているデザインの彫像で、大きな『M』の装飾文字と重なるように『slave』の筆記体の文字が入っていたのです。
わたくしは我慢出来なくて、舌を長く伸ばしてその直径3センチもある鼻輪を愛おしそうに舐めまわしていました。凄く猥らな家畜の貌です。
わたくしは涙に曇る鏡の中で夢を見ていました……。
そこは満月の光に照らされたワイキキビーチの波打ち際です。わたくしは素っ裸で、花嫁らしい一枚の薄いベールを頭から垂らしただけの格好で、散歩させられているのです。鼻ピアスに架けられた手綱でお義父さまに家畜のように曳かれ、白い砂浜を裸足でヒップをクネらせながら歩いているのです。美しい花嫁のはずなのに、牝豚の歪んだ貌を晒しているのです。乳首と秘芯のリングが月の光を浴びて輝きを増しています。
ビーチを散歩している沢山の方が大騒ぎされて、周りに集まってこられるんです。軽蔑の目で見られ、口々に罵倒されます。ピアスを嵌めた豚顔と真っ白い裸体を撮影する方もおられるのです。
そんな多くの方の前で花嫁のわたくしはお義父さまに背後から犯されているのです……。