プロローグ-1
取引先との接待が終わり 緊張をほぐそうと
近くの焼鳥のカウンターに座り 一人飲んでいると
後ろの席のサラリーマン達が酔った為か声が大きく成り
話し声が聞こえて来た
「山上先輩 財テク教えてくださいよ」
「何かマンション買ったとか？」
「ローンだよローン」
「でもすごい高いらしいって聞きましたよ」
「俺はな お前位の時から株買ってたの」
「それが少し上がっただけ」
「隼人は昔から固いから 奥さんも綺麗な人だしな」
「ギャンブルもしないし 女遊びもしなければ金は溜まるさ」
「こいつ昔から真面目だったもんな」
山上隼人 和夫は振り向いた
４人掛けの席に座って居るのは 少し老けた隼人だった
「先輩帰りましょう」４人が立ち上がり
和夫は思わず
「隼人・・・」と声を掛けていた
隼人が怪訝な顔で和夫を見つめ
「工藤か？」と声を掛け
同僚に声を掛け 和夫の横に座った
昔話に華が咲き 何時の間にか終電近く成って居た
話を始めた時から 大学生の自分に戻り
隼人を無理やり自宅に誘い 家に電話すると
陽子は 最初迷惑そうな声で
「解った・・」
部屋に招き入れ ビールを出させ陽子は軽い摘まみを
テーブルに乗せ 一緒に話を聞いて来る
大学時代の馬鹿話に笑い
・・・男４人で７月の夜の海で裸に成り 海の中で・・・
「潜望鏡」と聞いたとたん
陽子が腹を抱え涙を流しながら笑い転げていた
「飯島は？」と聞くと
「奴独立したんだけど資金繰りショートして」
「行方知れず」
「俺も少し出してたけど 一度年賀状来て それっきり」
と寂しそうな表情をみせた
「竹内は？」
「奴今名古屋支店」
「出世して名古屋に住むって言ってた」
「お前何処住んでるの？」
聞くと和夫の住んでる市の反対側に住んでると話す
和夫が風呂から出て 陽子と隼人の話している処に割って入り
風呂を進め客間を用意させ翌日再開を約束して
別れた