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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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混沌とした世界(前編)-4

荒淫の伯爵フェルベークという汚名で恨む者たちからは呼ばれ、震災から3年後に、執政官ギレスが闇市を取り仕切る盗賊に殺害されたと噂か流れた。
奴隷市場にフェルベーク伯爵領の貴族たちは衛兵を送り込み、奴隷商人ギルドに次の執政官を派遣されるまでの期間をバーデルの都を統制させた。
執政官ギレスが盗賊に殺害されたというのは、フェルベーク伯爵領にいる配下の貴族たちによる虚報であった。自分たちの代わりに、ギレスにフェルベーク伯爵を殺害させるためである。
フェルベーク伯爵は、配下の貴族たちに決起されて、ギレスに暗殺された。
執政官ギレスは暗殺によって、フェルベーク伯爵領の領主となるはずだったが、少年に変装した美少女エステル、つまりシャンリーが邸宅に潜入した。反乱者ギレスは、蛇神のナイフで喉や腹を裂かれ殺害された。
バーデルの都とフェルベーク伯爵領は、領主がいない統治者不在の状態となってしまった。
フェルベーク伯爵領の貴族たちはギレスを病死として、バルタの都の官邸へ届け出て、王都トルネリカの宮廷議会からの指示を待った。
ギレスの遺体は、無残に内臓をぶちまけた状態で寝室に放置されていた。さらに切り離された生首は、床に転がされていた状況で発見された。これは王都からの刺客にギレスは見せしめとして殺害されたのだろうと、配下の貴族たちは考えて恐れた。

シャンリーは、呪術師のロンダール伯爵やストラウク伯爵以外の伯爵たちから始末しようと動き出した。
テスティーノ伯爵領では、執事のベルガーがシャンリーの手によって、テスティーノ伯爵だと思われて殺害された。

反乱者ギレスとテスティーノ伯爵を殺害したと思ったシャンリーは、統治者のいないバーデルの都へ戻り潜伏した。
ブラウエル伯爵、ベルツ伯爵、リヒター伯爵の3名の伯爵を暗殺して、伯爵領の全体の護りの力を混乱させて失わせていく計画を立てていた。

バーデルの都はフェルベーク伯爵領の貴族たちが統治から手を引いたので、再び悪党の巣として近隣の盗賊たちが闇市を開き、集まった盗賊同士による縄張り争いの抗争が始まっている。

パルタの都で、フェルベーク伯爵暗殺の情報は止められて、王都トルネリカに報告されていなかった。
騎士ガルドと令嬢ソフィアは、バーデルの都で、盗賊に成りすまして潜入した。
パルタの都からフェルベーク伯爵領とバーデルの都を攻め取るための下見のためであった。
バーデルの都へ潜入する前に下見したフェルベーク伯爵領の同性愛の制度や雰囲気に、騎士ガルドはうんざりしていた。
フェルベーク伯爵領の闘技場の大会に、賞金狙いでガルドは参加した。ソフィアも変装して参加しようとしたが、ガルドとソフィアが決勝で対決するはめになりかねないとガルドに言われ、ソフィアは不承不承ながら、大会への参加をあきらめた。
伯爵領の闘技場で、ガルドに目をつけた男性の同性愛者の貴族たちは興奮し熱い視線を、観客席から送っていた。
闘技場の大会で優勝した者は市民としての地位を得て、貴族の庇護や援助を受けて暮らすことができる。優勝した闘士は貴族をパトロンとして関係を持つことが許される。
ガルドやソフィアは、フェルベーク伯爵領の特殊な法律をよく理解していない。ただ優勝すれば賞金が獲得できる。優勝賞金を持ってバーデルの都へ潜入し、滞在するつもりだった。

貴族たちは初めのうちは、騎士ガルドに注目していなかった。貴族たちから人気の高い闘士の見た目は、美青年である。
フェルベーク伯爵領で人気が高いのは美少年だが、闘技場の大会に美少年は参加していない。美少年は娼館へ行くか、バーデルの都の奴隷市場のオークションで見つけてくるしかない。
体格が大きく逞しい闘士に愛撫され、抱かれ、犯されたい貴族たちもいる。そうした貴族たちが闘技場の後援者たちであった。フェルベーク伯爵は、美青年か美青年が好みだった。

闘士の控え室に男装したソフィアとガルドがいた。試合で勝ち進めば、宿屋の一室が用意されるが、まだ初戦前は、参加する闘士たちはひとまとめに集められている。
闘士たちも同性愛者たちであり、敗者を勝者が試合後に犯しても容認されるという闘技場の常識を、ガルドやソフィアは知らない。

シャンリーは美少年に変装していて、闘技場の大会には参加していなかった。もしもフェルベーク伯爵に近づくために参加していれば、残虐な闘士として、貴族たちを恐怖させただろう。
フェルベーク伯爵が暗殺されたことは、有力な貴族たちしか知らず、小貴族や市民は、フェルベーク伯爵ふりをした偽物の仮面をつけたギレスを領主と思っている。闘技場の特別席にはギレスがまだ生きて観戦に来ていた。
ガルドが大会で優勝して、ソフィアと姿をくらましてからしばらくして、娼館から呼ばれた少年たちに紛れこんで、シャンリーは今はギレスが暮らしているフェルベーク伯爵の邸宅に潜入した。

ソフィアは、参加した闘士たちに美青年だと思われていた。闘士たちは、騎士ガルドにどんな手を使おうが勝利して、ガルドのそばについている恋人らしい美青年を犯してやると、肉欲と闘志を胸の中で熱く燃やしていた。
ガルドがかなり手強い対戦相手だということは、筋肉が岩のようについた体つきを見ればすぐにわかる。
目の前にいる美青年を逞しい筋肉の塊のようなガルドが、力づくで押さえ込み犯しているのを闘士たちは思い浮かべ勃起している。
もしもガルドが威圧感のある体つきではなく、さほど強そうに見えなかったら、ソフィアは闘技場の人目につかないところで教われていただろう。

「今日の試合に勝つと、宿屋も食事や酒も用意してくれるらしいぞ」
「貴方の手下たちよりも強そうな者は、10人もいないようです。残念です」

ガルドとソフィアはフェルベーク伯爵領が、男性の同性愛者の楽園を目指して改革された伯爵領だと知らない。
ザイフェルトのように、腕の立つ闘士がいればパルタの都へ勧誘する気でいた。


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